「あえて意識しています」 失敗したら日本一消滅、崖っぷちの3本目直前に微かに浮かべた笑顔の理由――日体大・小林美月
5日から4日間、岡山のJFE晴れの国スタジアムで行われた陸上の第94回日本学生対校選手権(日本インカレ)。熱戦を取材した「THE ANSWER」は文武両道で部活に励む選手や、怪我や困難を乗り越えた選手など、さまざまなストーリーを持つ学生を取り上げる。今回は女子棒高跳びで準優勝した日体大の小林美月(3年)。同大で表彰台を独占するも、試技数の差であと一歩連覇には届かなかった。緊迫した場面でも印象的だったのが笑顔。「あえて意識しています」と話す理由を聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)

陸上・日本インカレ 女子棒高跳び/日体大・小林美月(3年)
5日から4日間、岡山のJFE晴れの国スタジアムで行われた陸上の第94回日本学生対校選手権(日本インカレ)。熱戦を取材した「THE ANSWER」は文武両道で部活に励む選手や、怪我や困難を乗り越えた選手など、さまざまなストーリーを持つ学生を取り上げる。今回は女子棒高跳びで準優勝した日体大の小林美月(3年)。同大で表彰台を独占するも、試技数の差であと一歩連覇には届かなかった。緊迫した場面でも印象的だったのが笑顔。「あえて意識しています」と話す理由を聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)
「負けていられない」
追い込まれた4メートル10の3本目。小林は息を吐くと、ほんの少し口角を上げ、そう言い聞かせた。高まる気持ちを抑えて、体はリラックス……。勢いよく走り出し、高々と舞い上がった。バーを飛び越えると、両手を上げてガッツポーズ。失敗すればV逸の土壇場で底力を発揮し、歓声の中、笑顔でポンポンと手を叩いた。
続く4メートル23は日体大の先輩・佐々木琳音(4年)との一騎打ちに。両者とも失敗に終わり、試技数の差で2位となった。3位の岡田莉歩(2年)も含めて、日体大で表彰台を独占も「1、2、3が叶ったのは良かったけど、自分が1位でというのができなかったのでシンプルに悔しい」と連覇を逃した悔しさを明かした。

明星学園高(東京)3年夏にはインターハイを制し、昨季は2年生ながら日本インカレで優勝。高校、大学で日本一を経験している。競技力はもちろん、インスタグラムのフォロワーは2.9万人と人気の女子大生アスリート。中高生から競技に関する質問がDMで送られてくるなど、憧れられる存在になった。
連覇を狙った今大会。終われる立場となり、緊迫した場面でも印象的だったのが笑顔。競技後に質問すると「あえて意識しています」と話し、理由も教えてくれた。