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ラグビー部マネジャーが天職 駿河台大を朗らかに照らす2人の笑顔【#青春のアザーカット】

学校のこと、将来のこと、恋愛のこと……ただでさえ悩みが多い学生の毎日。その上、コロナ禍で“できないこと”が増え、心に広がるのは行き場のないモヤモヤばかり。そんな気持ちを忘れさせてくれるのは、スポーツや音楽・芸術・勉強など、自分の好きなことに熱中する時間だったりする。

ラグビーが繋いだ一生の縁に感謝する富沢さん(左)と駒場さん【撮影:南しずか】
ラグビーが繋いだ一生の縁に感謝する富沢さん(左)と駒場さん【撮影:南しずか】

連載「#青春のアザーカット」カメラマン・南しずかが写真で切り取る学生たちの日常

 学校のこと、将来のこと、恋愛のこと……ただでさえ悩みが多い学生の毎日。その上、コロナ禍で“できないこと”が増え、心に広がるのは行き場のないモヤモヤばかり。そんな気持ちを忘れさせてくれるのは、スポーツや音楽・芸術・勉強など、自分の好きなことに熱中する時間だったりする。

 そんな学生たちの姿を、スポーツ・芸術など幅広い分野の第一線で活躍するプロカメラマン・南しずかが切り取る連載「#青春(アオハル)のアザーカット」。コロナ禍で試合や大会がなくなっても、一番大切なのは練習を積み重ねた、いつもと変わらない毎日。その何気ない日常の1頁(ページ)をフィルムに焼き付けます。(取材・文=THE ANSWER編集部・佐藤 直子)

ラグビー日本代表歴を持つ松尾監督(中央)の指示を受けながら練習をサポート【撮影:南しずか】
ラグビー日本代表歴を持つ松尾監督(中央)の指示を受けながら練習をサポート【撮影:南しずか】

11頁目 駿河台大ラグビー部マネジャー 駒場みずきさん 富沢水優(みゆ)さん

 笑いは伝播するというが、それを見事に体現する底抜けに明るい2人だ。駒場さんが笑えば富沢さんも笑う。富沢さんが吹き出せば、駒場さんも吹き出す。4月を迎えれば4年生になるが、“箸が転んでもおかしい年頃”を絶賛継続中。2人の天真爛漫さが、夕暮れ時のグラウンドも穏やかに、そして温かく包み込む。

 元日本代表の松尾勝博監督率いる駿河台大は関東大学リーグ3部で上位を争い、2部昇格を目指している。およそ80人の部員に対し、マネジャーはたった2人。1年の頃からさぞかし仲良しだったのだろうと思いきや、「知り合って、まだ1年くらいなんです」と富沢さん。「3つ上の先輩が卒業した後は、水優が入ってくるまで1人でした」と駒場さんは続ける。

駒場「入ってくれて、もうめっちゃ嬉しかったです! 部活がより楽しくなりました」

富沢「カワイイ?!(笑) 私も本当に入ってよかったです。途中入部は気まずかったけど、みずきがすごく優しくて。意地悪だったら嫌じゃないですか。でも、ホントに優しくて」

駒場「恥ずかしい?!(笑)」

知り合ってわずか1年あまりだが、ずっと以前から友達だったかのような2人【撮影:南しずか】
知り合ってわずか1年あまりだが、ずっと以前から友達だったかのような2人【撮影:南しずか】

同じラグビー好きでもマネジャーを始めたきっかけはそれぞれ

 2人はそれぞれ、高校時代もラグビー部マネジャーをしていたという生粋のラグビー好き。ただ、ラグビーとの出会いは少し異なる。

駒場「兄2人が中学、高校とラグビーをやっていたので、家族みんなラグビーが好きなんです。だから、私も関わりたいと思って高校でマネジャーを始めました。ただ、兄たちは高校でラグビーを辞めてしまったので、両親に大学ラグビーを見せたい思いもあって、私は大学でもマネジャーを続けています」

富沢「私は高校に入って部活を探している時に、すごくかわいいラグビー部のマネジャーさんが『募集してます』って声を掛けてくれて、この先輩と一緒にいたら高校生活楽しそうだなと思って入部しました。だから、最初はラグビーには全然興味がなくて(笑)。激しいスポーツなのに自分の体だけでぶつかり合う姿にビックリしましたけど、カッコいいなと思いました」

駒場「やっぱりカッコいいよね。私、格闘技も見るんですけど、ラグビーも体のぶつかり合いが面白くて。私にはできません(笑)。ポジションごとに体格や動きが違うのも面白いし、見ていてハラハラするのも面白いです」

富沢「私は中学はバスケ部だったんですけど、バスケより断然広いグラウンドを走り続けて、タックルして。バスケとは全然違う動きがすごく魅力的でしたし、自分には絶対できないと思ったのが興味を引かれた一番の理由かもしれません」

両親に大学ラグビーを見せたい… 大学でも迷わずマネジャーを続けた駒場さん

先輩は卒部後は1年あまり、たった1人のマネジャーとして部を支えた駒場さん【撮影:南しずか】
先輩は卒部後は1年あまり、たった1人のマネジャーとして部を支えた駒場さん【撮影:南しずか】

 大学入学と同時にラグビー部の門を叩いた駒場さんは、4年生の先輩と2人でマネジャー業務を分担。飲料水の用意やタイムキーパー、部員の出欠管理、試合用ジャージや備品の管理、トレーニングの記録など、部員が試合と練習に集中できるようにサポートを続けてきた。

 頼れる4年生が卒部してしまったが、4月になれば新入生が入ってくれるはず……と淡い期待を抱いた矢先、新型コロナウイルス感染拡大が発生。新入生の勧誘どころか、大学は休講となり、グラウンドでの部活動は一時休止となった。駒場さんは「マネジャーになりたい子がいるという話は聞いていたんですけど、学校に来る機会がないし、連絡先も分からないし。結局、マネジャーは誰も入りませんでした」と振り返る。

 2020年4月の緊急事態宣言中は、部員たちが行うオンライントレーニングに参加して、トレーニングのセット数を数えたりタイムキーパーを務めたり。入部したばかりの1年生がオンラインでも馴染めるような雰囲気作りにも一役買った。

 グラウンドで練習ができるようになっても、感染対策のため全員が揃うことはほぼなし。恒例の夏合宿は中止となり、秋の公式戦も開催はされたが特別規定により入れ替え戦はなく、「チームとしてモチベーションを上げることが難しかったと思います」と駒場さん。未曾有の出来事に戸惑っているのは自分たちだけではないと分かりつつも、モヤモヤの残るシーズンを終えた部員たちを、同じようにモヤモヤを抱えながら見守るしかなかった。

富沢さんが選んだ部活のない大学生活「楽しかったのは最初だけ」

できることならラグビー部マネジャーを職業にしたいと笑う富沢さん【撮影:南しずか】
できることならラグビー部マネジャーを職業にしたいと笑う富沢さん【撮影:南しずか】

 その頃、同じようにモヤモヤを抱えた日々を送っていたのが富沢さんだった。高校でのマネジャー経験は楽しかったがほとんどオフがなく、大学ではキャンパスライフを満喫しようと部活には入らなかった。車の免許を取ったり、新しい友達と遊びに出掛けたり、アクティブに動いた。

富沢「でも、楽しかったのは最初だけで、2年生になったら毎日オフ状態がつまらなくなってきて。やっぱりラグビー部でマネジャーがしたいな、近くでラグビーを見たいなって思うようになりました」

 ラグビー部で活躍する高校時代の先輩に思い切って相談してみると「入部しろよ」と背中を押された。とは言うものの、途中入部は覚悟がいる。大学構内で顔を合わせるたびに入部を勧められながら、なかなか前に踏み出せずにいたある日、まさかの展開が待っていた。

富沢「先輩に『監督と話をしてみろ』と言われて、体育館ロビーで松尾監督と話をすることになったんです。覚悟も決めずに背中を押されるままに話をしていたら、入る流れになっていました(笑)。でも。良かったです。そうしてもらわなければ入っていなかったと思うので。先輩に感謝です」

2人が考える最高の就職先は…

 2021年1月。こうして出会った駒場さんと富沢さんは、あっという間に意気投合。グラウンドではマネジャー業務を行いながら、そして目で部員たちを追いながら、「ずっと喋りっぱなしだよね(笑)」と声を揃える。

 出会ってから1年あまり。季節に合わせてチームの雰囲気が変化する様子を見守ってきた。同じグラウンドで同じ練習風景を見てきた2人だが、心に響くポイントはそれぞれの個性が反映されている。

駒場「私は公式戦がある秋が好きです。2部昇格を目指して頑張っている部員と一緒に、私もこの時期が一番気合が入るんです。1試合1試合『みんな頑張れ!』『怪我しませんように!』って、私も一緒に戦っています。試合を見ていて涙が出ちゃうこともあったりして(笑)」

富沢「私は春ですね。新チームになって最初はバラバラでぎこちない感じを見ていると、『頑張れ!』っていう気持ちにさせてくれるんです。秋は頑張る時期だし楽しいけど、シーズンが終わったら先輩がいなくなってしまうのが寂しくて。『この時期が来たな』ってなるので秋は好きじゃありません」

 ラグビー部マネジャーとして過ごす最終年を迎えた。毎日グラウンドに通いたいが就職活動も並行しなければならず、悩ましい。

富沢「マネジャーを職業にできれば一番いいなと思ってます(笑)。私にとってラグビーは一番面白くて一番カッコいいスポーツだから。ラグビー部マネジャーとして就職できるものならしたいです」

駒場「私も同じ! マネジャーが職業になれば最高だと思います(笑)」

様々なデータをパソコンに入力するのもマネジャーの仕事【撮影:南しずか】
様々なデータをパソコンに入力するのもマネジャーの仕事【撮影:南しずか】

引き合わせてくれたラグビーに感謝「この1年で一番いい出会い」

 いろいろな偶然が重なり、駿河台大で交差した2人の人生。同じ熱量でラグビー愛を語れる女友達に巡り会えるなんて、人生は捨てたもんじゃない。

富沢「私、この1年で一番喋っている人はみずきです。この短い間にだいぶ仲良くなれたかなと(笑)。卒業しても会えたらうれしいですね。この1年で一番いい出会いだったと思っています」

駒場「めっちゃうれしいです!」

 そういって顔を見合わせると、たまらず大爆笑を始めた2人。この出会い、偶然ではなく必然だったのかもしれない。

【出演者募集】
プロカメラマンの南しずかさんが、あなたの部活やクラブ活動に打ち込む姿を撮りにいきます。運動系でも文化系でも、また学校の部活でも学校外での活動でもかまいません。何かに熱中している高校生・大学生で、普段の活動の一コマを作品として残したいという方(個人または3人までのグループ)を募集します。自薦他薦は問いません。
下記より応募フォームにアクセスし、注意事項をご確認の上、ご応募ください。
皆様のご応募をお待ちしております。

■南しずか / Shizuka Minami

 1979年、東京都生まれ。東海大学工学部航空宇宙学科、International Center of Photography:フォトジャーナリズム及びドキュメンタリー写真1か年プログラムを卒業。2008年12月から米女子ゴルフツアーの取材を始め、主にプロスポーツイベントを撮影するフリーランスフォトグラファー。ゴルフ・渋野日向子の全英女子オープン制覇、笹生優花の全米女子オープン制覇、大リーグ・イチローの米通算3000安打達成の試合など撮影。米国で最も人気のあるスポーツ雑誌「Sports Illustrated」の撮影の実績もある。最近は「Sports Graphic Number Web」のゴルフコラムを執筆。公式サイト:https://www.minamishizuka.com

レンズを覗く南カメラマンにも笑いを伝播させた仲良しマネジャー

「撮影協力:Pictures Studio赤坂」

(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)

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