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元バレー女子代表監督・眞鍋氏の哲学 世界に勝つための鍵は「非常識を常識に」

時速100キロ以上の強烈スパイクをレシーブ、拾って拾って拾いまくるバレーに進化

 眞鍋氏が女子バレーに落とし込んだ「非常識」とは何か。その代表例が、男子選手のスパイクをレシーブさせるという“スパルタ特訓”である。

「毎日、身長190センチ以上の男子選手を呼んできて、相手コートから思い切りアタックを打ってもらう。距離にして約4メートルですかね。1人3本レシーブしたら終わりなんですが、現役男子のスピードボールを女子選手は避けられない。コートの周りには、トレーナーやドクターを控えさせていました」

 いくら日本代表と言っても、男子選手と女子選手の身体能力の差はやはり大きい。ブロックなしで時速100キロを優に超える強打をレシーブすることに、「怖い」と漏らす選手もいたという。それでも、眞鍋氏は「非常識」を8年間貫いた。世界と戦うために――。

 スパイクは容赦なく選手たちの顔面を襲い、腕や太ももは青たんだらけ。ずっとレシーブの体勢をしているため、足もガクガクと震える。当初はこの練習だけで5時間かかったこともあった。それでも少しずつ体がスピードに慣れ始め、3か月が経過した頃にはレシーブの質が変わってきたと振り返る。

「不思議なもので、運動神経の良い竹下(佳江)や木村(沙織)は一か月半くらい練習を続けたら、体が自然と反応していました。他の選手も3か月後にはレシーブが変わっていましたね。男子選手のスピードが基準になれば、たとえ相手が中国でも、アメリカでもブラジルでも半分程度です。この練習のおかげで、試合でボールを緩く感じてレシーブできたと思います。バレーは信念と執念があれば、苦しい練習にも耐えられる。日本以外の選手に、この練習は絶対にできないでしょう」

 こうして、拾って拾って拾いまくる日本オリジナルの「組織バレー」は進化を遂げたのだった。

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