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「平日夕方の公式戦。結構、疲れます」 米国の部活に保護者として感じた“違和感”

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回のテーマは「公式戦が多い部活事情」。

アメリカの部活の試合は、平日夜に行われることが多い(写真はイメージです)【写真:Getty Images】
アメリカの部活の試合は、平日夜に行われることが多い(写真はイメージです)【写真:Getty Images】

連載「Sports From USA」―公式戦の数が多い米国の運動部、その理由とは

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回のテーマは「公式戦が多い部活事情」。

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 米国の人気あるスポーツノンフィクション本のひとつに「フライデー・ナイト・ライツ」がある。

 米国の高校アメリカンフットボール部とそれを取り巻く人々を描いた作品だ。高校アメリカンフットボール部の試合が金曜日の夜に行われることから、このようなタイトルがついているのだと思う。

 初秋から晩秋にかけての夕暮れ。金曜の夜の開放感が高校のグラウンドに充満している。選手たちは、こうこうとライトが輝くグラウンドの下でプレー。ブラスバンド部やチアリーダー部の晴れ舞台でもある。地域の人、保護者、学校の友達が詰めかける。試合が終了するのは夜9時、10時。高校生のなかにはすでに運転免許を取得している生徒も多く、自ら夜道を運転して家路へつく。

(高校運動部の公式戦は学校の施設を使用することが多い。言い換えれば、多くの高校が試合のできるグラウンドを持っているということだ。日本と比べれば恵まれた環境である。公立高校のスポーツ施設は、高校の生徒が使っていない時間帯は、地域住民が使えるようにしているところも多い。公立校のグラウンドは学校のものというよりも、地域のでもある、という意識があるから、税金によってナイター照明つきのグラウンドを作ることができるのだと思う)

 私は最初、平日の夜に試合をすること、高校生が夜遅い時間帯に試合をし、帰宅時間が遅くなることに違和感があった。けれども、米国人たちは、金曜夜は高校アメリカンフットボール、土曜日は大学アメフト、日曜日はプロというスケジュールに馴染んでいるようだ。

 米国の運動部は公式戦の数が多いと感じる。しかも、平日夕方からの試合が多い。運動部に限っては、日曜日に試合をすることはあまりない(学校外のユーススポーツでは、日曜日でも練習や試合がある)。日曜を安息日としている宗教的な影響もあるだろう。カリフォルニア州の高校運動部を統括する組織を取材したときにも、日曜日は活動は行わないとのことだった。

 私の身近な例をご紹介すると、次男の所属している公立高校サッカー部は平日夕方に週2回、試合をすることが多かった。アメリカンフットボール部の試合は金曜日に行うのが一般的だが、このサッカー部は火曜日と木曜日に試合をすることが多かった。冬にプレーしている公立高校アイスホッケー部も同様で、平日夜(ホームは水曜日)と土曜日の試合をして、4か月の活動で30試合近くをこなしている。サッカー部に比べると遠方での試合もあり、4試合ほどは学校も早退した。練習が週3~4回、試合が週2回程度というペースだ。

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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