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ラグビーW杯で日本と同組 大野均が見た難敵イングランド、“エディー流”の共通点とは

驚かされたイタリア戦でのFWのランプレー

 さらに、イタリア戦でのFWのランプレーには、指揮官がイングランドFWに求める新たなスタンダードを感じ取った。

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「びっくりしたのは、前半終了直前のトライです。イタリア陣22メートル内の右展開で、PR(プロップ)エリス・ゲンジの2人飛ばしのロングパスで、HO(フッカー)ジェイミー・ジョージがトライをしている。エディーさんが、FW第1列の選手にもそういうプレーを求めて、取り入れているんだろうなと想像します。スペースがあればBKじゃなくても、どんどん自分の判断で仕掛けていいんだと、選手に落とし込んでいると思いますね」

 注目選手にBK勢を指名した大野氏だが、もちろんFW勢も高く評価している。名前を挙げるのは、好調さをキープする不動のメンバーたちだ。

「LOマロ・イトジェは相変わらずいい働きぶりですね。ボールに常に絡んでくるから脅威になる。そしてキャプテンを任されていたFL(フランカー)コートニー・ローズは、試合中の表情や姿が映ると、エディーさんの時代に日本代表主将だったリーチ・マイケルと重なりますね。HCから、いろいろとプレッシャーがかかっているんだろうなと思います。でも、2人ともLOもFLもできるユーティリティー性のある選手。この2人がプレーすることで、高さ、パワー、そして機動力が上積みされる」

 キャップ数はローズが93、イトジェは56と高い経験値を持つ核となる選手に、スミス、マーチャントのような、伸びしろのある若手を思い切って起用する敏腕指揮官。大野氏は「エディーさんなら、これからもスミスのような若手の抜擢があるかもしれない。あと1年、準備期間があるので、そこでいろいろ使って、試してくる可能性はある。2015年の日本代表のNO8アマナキ・レレイ・マフィのような、隠し玉のような選手が出てくるかもしれないですね」と、“これから”にも注目する。

 では、来年のフランスへ向けて選手層にさらなる厚みを持たせようというエディー・イングランド相手に、日本代表はどう戦うのか。次回は、大野氏に日本代表がイングランドとどう戦うのか、そして史上初の金星を奪えるのかを語ってもらう。

【2023年W杯プールD・日本代表の試合日程】
9月10日 vsアメリカ地区2位(トゥールーズ)
9月17日 vsイングランド(ニース)
9月28日 vsサモア(トゥールーズ)
10月8日 vsアルゼンチン(ナント)
※現地時間

(第2回へ続く)

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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大野 均

ラグビー元日本代表 
1978年5月6日生まれ、福島県出身。小学生時代から野球を続け、日大進学後にラグビー選手としてのキャリアをスタート。身長192センチの恵まれた体躯を武器に頭角を現すと、卒業後は東芝府中ラグビー部(現・東芝ブレイブルーパス東京)に加入した。日本代表にも2004年から選出され、通算キャップ数「98」は歴代最多。W杯にも07年から3大会連続で出場している。20年に現役を引退し、現在は東芝ブレイブルーパス東京のアンバサダーを務めている。

吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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