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「あそこなら野球をできる」代表エースが目指した“韓国の東大” 女子だからできた文武両道…変えたい母国の弱点

今季から女子野球の強豪、埼玉西武ライオンズレディースに加入したのが、韓国代表のエース右腕キム・ラギョンだ。子どもの頃から“天才野球少女”と呼ばれたもののプレーを続ける道がなく、いつも自らの手で切り開いてきた。日本で言えば東京大学に例えられる、超難関のソウル大学に進んだのも野球のため。究極の文武両道を可能にした方法と、韓国のスポーツ界に横たわる大きな問題について聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部 羽鳥慶太)

ライオンズレディースに韓国からやってきたキム・ラギョン。ソウル大卒の才媛だ【写真:羽鳥慶太】
ライオンズレディースに韓国からやってきたキム・ラギョン。ソウル大卒の才媛だ【写真:羽鳥慶太】

ライオンズレディースのキム・ラギョンは韓国女子野球の先駆者

 今季から女子野球の強豪、埼玉西武ライオンズレディースに加入したのが、韓国代表のエース右腕キム・ラギョンだ。子どもの頃から“天才野球少女”と呼ばれたもののプレーを続ける道がなく、いつも自らの手で切り開いてきた。日本で言えば東京大学に例えられる、超難関のソウル大学に進んだのも野球のため。究極の文武両道を可能にした方法と、韓国のスポーツ界に横たわる大きな問題について聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部 羽鳥慶太)

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 キム・ラギョンは日本に来た理由を「やっぱり日本は世界一、女子野球が発展している国だと思います。韓国では『女子が野球をやるの?』という空気が強いので」と口にする。成長する過程で、誰よりも感じてきた現実だ。中学時代から呼ばれた韓国代表では、ずっと最年少だった。主力は、ソフトボールから転向したお姉さんたち。女子が野球を続ける道がないことを意味した。

 その中で「あそこに行けば、野球をできるかもしれない」と思い描いた進路は、日本の東京大学に例えられる最高学府・国立ソウル大学だ。突拍子もないルートに思えるが、そこには韓国ならではの事情があった。

 韓国のスポーツ選手は、徹底したエリート主義のもと鍛えられる。中学や高校の野球部は、プロを目指す男子が徹底して自分を追い込む場で、日本のように誰もが参加できる部活動ではない。勉強は二の次という空気すらある。大学野球も、高卒でプロ入りできなかった選手の“敗者復活戦”という色が濃い。このルートから脱落した選手を待つのが、「同好会」と呼ばれる草野球。野球にも勉学にも本気で取り組む道は、ないに等しい。

 その中でソウル大の野球部だけは、超難関の入試をくぐり抜け、それでも野球をしたいという選手で構成されている。プロ予備軍が並ぶ大学リーグでは異色のチームだ。東京六大学リーグでの東大以上に白星は遠いが、みんな真剣に白球を追っている。キム・ラギョンがこのルートに気づいたのは、中学3年だった2015年の秋だった。

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