「東京五輪の時より上手いんじゃね?」 現役復帰→2年後に世界一、競技を離れた1年で見つけた“今の自分”――体操・杉原愛子

復帰後の演技力向上につながった指導者や審判員の経験
復帰後は、練習の取り組み方も変化。量よりも質を重視し、練習内容もコンディションを見ながら、自分で考え、コントロールできるようになった。
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「以前はできるまで練習をやめないタイプでしたが、量をやるばかりでは疲労が溜まり、かえってやりたい練習を100%できません。東京五輪前は週6日、練習していましたが、今は3日練習して1日休み、2日練習して1日休むというスケジュール。疲労回復の具合も良く、自分の体とうまく折り合いをつけながら、質の良い練習ができるようになりました。
まあ、たまに自分の負けず嫌いなアスリート心が出てきて、やりすぎちゃうんですが(笑)、そういう時は大野先生がストップをかけてくれます」
さらに、競技から離れていた間の経験が生きた。指導者や審判員としての学びから、採点基準につながる視点を得られ、質の高い技や演技につながった。また、イベント出演の経験により、杉原のこだわりでもある「観客に楽しんでもらう」表現力が磨かれた。
「イベントでは、ジャッジではなくオーディエンスをいかに楽しませるかが大事です。観客の皆さんに笑顔で帰ってもらうためにはどうしたらいいのかなと、大好きなNissyのライブやD.LEAGUE(プロダンスリーグ)に通い、研究しました。それこそバックダンサーまで、演技の参考になる表情や見せ方をチェック。『ライブを楽しむはずだったのに、完全に勉強しちゃってるわ~』って思っていました(笑)」
25年に入ると、杉原はさらに躍進する。NHK杯では15歳で優勝して以来、10年ぶりに優勝。そして、6年ぶりに出場した世界選手権では、女子種目別のゆかで、自身初の金メダルを獲得した。
「(金メダルには)私もビックリしました。実は前日に段違い平行棒で落下し、個人総合でのメダル獲得の可能性が消えてしまいました。でも、落下の原因をその日中にクリアしたことで頭が切り替わり、翌日はスッキリとした気持ちに。残りの平均台と床は、自分が納得いく、楽しむ演技をしようと臨んだんです。結果、最初の平均台は“ゾーン”に入れて、ほんまに楽しくできた」
自ら「これ以上ない」と言うほどのパーフェクトな演技で、平均台は3位に入った。続くゆかでも「会場を盛り上げてやろう!」という気持ちで演技。まさに、体操を楽しみ尽くした結果の金メダルだった。
「実は今回のように『早く試合がしたい』『めっちゃ楽しみ!』という気持ちで、世界選手権に臨めたのは初めてのこと。復帰する前は、大会前にケガをすることが多く、いつも大きな不安を抱えて出場していたんです。
パリ五輪前も『代表に絶対になるぞ』という思いが強すぎて、変なプレッシャーがかかり、納得する演技ができなかった。やっぱり体操が好き、体操を楽しもうという気持ちが一番大事やなと、改めて実感しました」
近頃は、「今後の目標はロサンゼルス(五輪)出場か?」という質問も多くなった。しかし、五輪までの苦しい道のりを知るだけに、「前向きに考える」とだけ答えるようにしている。
「2年後のことを考え続けていたら、楽しく体操をする部分を見失ってしまいます。自分の一番のテーマは『楽しむ』こと。今やるべきこと、目の前にある目標をクリアしていって、気づけばロスにいたって感じに持っていけるのが理想です」
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