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ラグビー日本、次戦サモアが不気味な理由 スクラムで互角のイングランド戦に見る勝利へのヒント

屈強なイングランド相手に互角に組み合ったスクラム

 個人的にイングランド戦は、かなり厳しい試合になると見ていた。その基準で試合を振り返ると、敗戦の中にポジティブな要素も少なからず読み取れた。

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 まずはスクラムだ。昨年11月の対戦(敵地トゥイッケナムで13-52と大敗)では反則を連発したが、今回は序盤から相手の重圧をしっかりと受け止めたスクラムが多かった。スクラム成功率はイングランドの81.8%(2回失敗)に対して、日本は85.7%(1回失敗)。反則を奪われたスクラムもあったが、互角に近く組み合えたと評価していいだろう。7、8月の代表戦では重圧を受けるシーンもあったが、20日に取材に応じたPR垣永真之介(東京サントリーサンゴリアス)はスクラムの善戦をこう振り返っている。

「去年イングランドに結構押されてから、しっかりやっていこうと話し合ってきた。(昨季の)リーグワン期間の代表ミーティングでも対策が始まっていて、長い時間をかけた成果が出たなと思いました」

 過去のコラムでも指摘してきたが、他国と異なる日本代表の強みは、繊細に組織化されたチームプレーだ。その考え方は、長谷川慎アシスタントコーチ(AC)が作り上げるスクラムも同じ。昨年11月の敗戦から延々と、W杯でイングランドとどうスクラムを組み合うかの試行錯誤を繰り返してきた。7月の時点では完成度が低かった、8人でいかに相手のパワーをフルに出させないかという取り組みが、ようやくW杯本番で機能し始めている。

 その細部は極秘事項だが、垣永は「相手のじゃなく、こちらの土俵に引き込むような、すごく細部にこだわり、足(の位置)がどうだ、首がどうだということにこだわってきた」と明かしている。FW第1列だけではなく、第2、3列のいわゆるバックファイブも、全員が同じ考え方、方向性でスクラムを組むことを徹底して、ようやくイングランド戦のスクラムに漕ぎ着けた。

 スクラムのデータを紹介したところで、参考にゲームのスタッツも挙げておこう。

 試合の優劣に大きく影響するテリトリー(地域支配)は日本の39%に対してイングランドは61%、ポゼッション(ボール保持率)も34%に対して66%と、相手に圧倒されている。22メートルライン内の、いわゆるデンジャラスゾーンに侵入された回数も、日本の4に対してイングランドは13と攻め込まれている。

 突き放された後半だけを見ると、日本は17分まで1度も相手22メートルラインを越えていない。だが、自陣ゴールを背にしてイングランドの連続攻撃を相手のミスや反則で終わらせるシーンを何度も見せ、13回の侵入を許しながら8回はスコアされていない粘り強い防御には目を見張った。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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