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ラグビー日本、難敵イングランドから奇跡を起こす条件 W杯“30点差快勝”に潜む準備不足の現実

日本を4年前以上に警戒する相手を上回れるか

 加えて、チリ戦を急遽欠場したNO8姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ)も、コーチ、選手とも次戦出場に前向きなコメントをして復帰が濃厚。8月のフィジー戦でのレッドカードで出場停止処分を受けた主力FLのピーター・ラブスカフニ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)も、イングランド戦からの出場が可能になった。今年の代表戦を左足の怪我などで見送ってきたLOワーナー・ディアンズ(BL東京)も、途中出場で復帰したチリ戦では安定したプレーを見せるなど、戦力の充実には期待が高まる。

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 開幕戦は、初戦の緊張と、チリの称賛に値する思い切りのいい戦い方に苦戦しながらも、地力の差で凱歌を揚げた。だが、過去のコラムでも書いたように、2019年の日本大会で世界を魅了した完璧なハーモニーは、まだ完成の領域には達していない。

 そして、これも繰り返しになるが、どの対戦相手も日本を4年前以上に分析、警戒して万全の準備で臨んでくる。4年前も、戦前は難しいとも指摘されたアイルランド、スコットランドを倒したが、彼らは日本を「ベスト8のチーム」という見方で準備してきてはいなかった。

 そして忘れてはいけないのは、イングランドを率いるのは15年までFW担当ACとして日本代表の強さも弱さも知るスティーブ・ボーズウィックだ。アルゼンチン戦同様に真っ向勝負で、自慢の大型選手をぶつけてくる。そのパワーや圧力を華麗にかわし、スピードで切り返すジャパンラグビーが完成の領域に入った時に、初めて“ニースの奇跡”の幕が上がる。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)


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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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