1年以上の「空席」に終止符 女子ハンドボール日本代表、新監督にソウバク氏就任 国際経験豊富な名将「スピードあるチーム目指す」
悲願の五輪予選突破へ――。日本ハンドボール協会は18日、女子日本代表の監督にデンマーク出身のモーテン・ソウバク氏(60)の就任を発表した。契約は7月1日から28年ロサンゼルス五輪まで。都内で会見した新監督は「目標は予選を突破し、ベスト8に入ること」と1976年モントリオール大会以来の自力での五輪出場へ意欲をみせた。

18日に会見、ロス五輪8強が目標「日本を率いてみたいと思っていた」
悲願の五輪予選突破へ――。日本ハンドボール協会は18日、女子日本代表の監督にデンマーク出身のモーテン・ソウバク氏(60)の就任を発表した。契約は7月1日から28年ロサンゼルス五輪まで。都内で会見した新監督は「目標は予選を突破し、ベスト8に入ること」と1976年モントリオール大会以来の自力での五輪出場へ意欲をみせた。
ソウバク氏は輝かしい選手経歴こそないものの、早くから指導者に転身してデンマークのクラブチーム監督を歴任。2009年にブラジル女子代表の監督に就任し、13年には欧州以外のチームとしては男女を通じて史上2か国目の世界選手権優勝を果たした。
その後もアンゴラ女子代表をアフリカ王者に導き、サウジアラビアなどでも指導。「近年の日本の戦いぶりをみて、いつか日本を率いてみたいと思っていた。こういう機会を与えていただき、うれしい」と日本協会に感謝。金丸恭文会長は「多様な国に順応し、選手と信頼関係を築いてきた経験豊富な監督」と期待した。
目指すのは「日本らしいハンドボール。世界一高さのあるチームとかフィジカルに優れたチームになるのは難しい。やはり、スピードがあるチームを目指したい」。チームに対する哲学はあるが、さまざまな国で指導してきた経験をもとに「まずは個々の選手の特徴を重視して、それに合わせたチーム作りをしたい」と話した。

会見後には、21日の日韓定期戦(ソウル)に向けて強化合宿中の代表を視察した。定期戦までは選手の見極めを優先して本格指導は7月以降の予定だったが、練習後には相手選手のマークの仕方を身振り手振りで指導。新監督がロス五輪へスタートを切った。
昨年4月のパリ五輪予選敗退で楠本繁生監督が退任して以来、後任選びは難航した。監督が決まらないまま12月のアジア選手権は日本協会で育成担当の田中俊行常務理事が暫定で務める異常事態。いち早くロス五輪へ再始動するチャンスを逃した。
23年8月のパリ五輪アジア予選でチームを韓国に肉薄させた楠本氏の続投が決まりかかったが、協会内に反対の声があがり紛糾。選手の成長もあってアジア選手権ではライバル韓国を破り20年ぶりの優勝を果たしたものの、代表監督の「空席」は1年以上も続いた。
日韓定期戦は前HC名古屋ヘッドコーチの新井翔太氏が暫定的な監督として指揮をとるが、ソウバク新監督も現地に赴き視察予定。国際経験豊富な名将を迎え、ようやくロスへの戦いが始まる。パリ五輪後にドイツのチューリンガーに移籍してたくましく成長した相澤菜月主将は「少し出遅れましたが、まだまだ時間はある。頑張ります」とロス五輪予選突破を目指して話した。(荻島弘一)
(THE ANSWER編集部)