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ラグビー強豪・豪州の強さの源 世界でもかなり珍しいジュニア向け栄養指針とは

Jリーグやラグビートップリーグをみてきた公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏が「THE ANSWER」でお届けする連載。通常は食や栄養に対して敏感な読者向けに、世界のスポーツ界の食や栄養のトレンドなど、第一線で活躍する橋本氏ならではの情報を発信する。今回は「豪州のラグビージュニア向けガイドライン」について。

日本で行われた2019年ラグビーW杯ではベスト8入りしたオーストラリア代表【写真:Getty Images】
日本で行われた2019年ラグビーW杯ではベスト8入りしたオーストラリア代表【写真:Getty Images】

公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏の連載、今回は「豪州のラグビージュニア向けガイドライン」

 Jリーグやラグビートップリーグをみてきた公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏が「THE ANSWER」でお届けする連載。通常は食や栄養に対して敏感な読者向けに、世界のスポーツ界の食や栄養のトレンドなど、第一線で活躍する橋本氏ならではの情報を発信する。今回は「豪州のラグビージュニア向けガイドライン」について。

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 スポーツ栄養を専門とする、650人の栄養士で構成されたオーストラリアの団体「スポーツ・ダイエティシャンズ・オーストラリア」。科学的なエビデンスをベースに情報を発信するこの団体では、2001年、ラグビーを楽しむ5~11歳の子供たちを対象にした、スポーツ栄養のガイドラインを発行。ラグビーのコーチ、保護者、関係者に向けて情報を発信し、食育を行っています。

 ガイドラインには、何を食べる・飲むかは、子どもの体の成長、トレーニング、免疫機能、考える力にも影響を及ぼすこと。そしてジュニア世代でよい食習慣を身に付けることで、子どもたちは長くスポーツに携わることができ、ひいては家族全員の健康にも役立つと記しています。

 ガイドラインのなかでオーストラリアらしさを感じたのは、「栄養は活動的に、ハッピーに過ごすために必要」という表現です。日本の育成年代の現場では「強くなる」「大きくなる」「元気になる」という言葉をよく使いますが、あまり「ハッピーに」という表現は出てきません。勝つこと、強くなることも大事。しかし何よりも、スポーツをいきいきと楽しむことが大事なのだ、と考える姿勢が感じられます。

 ガイドラインにあるのは水分補給、試合に合わせた食事計画、冬に体を温めるためのリカバリーフード、サプリメントのほか、健康的な体重(減量/増量)、歯の健康やボディイメージ(自分の身体について心に抱くイメージ像)などについても書かれています。

 実は特定の競技のジュニア選手に向けた栄養のガイドラインがあることは、世界でもかなり珍しいことです。

 育成年代のご家族や指導者と接していて、常々感じるのは、あまりにも情報が散乱し、子どもたちをみている大人が振り回され、「何」を「いつ」「どのように」食べさせてあげればいいかが分からなくなっていることです。しかし、こういったガイドラインがあるだけで、子どもたちをどうサポートすればよいのかの基本が明確になります。それによって、保護者だけでなく、指導者、コーチも安心して、各家庭やチームで取り組むことができる。これがガイドラインのある素晴らしさです。

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橋本 玲子

株式会社 Food Connection 代表取締役

管理栄養士/公認スポーツ栄養士

ラグビーワールドカップ(W杯)2019で栄養コンサルティング業務を担当。2003年ラグビーW杯日本代表、サッカーJ1横浜F・マリノス(1999年~2017年)、ラグビーリーグワン・埼玉パナソニックワイルドナイツ(2005年~現在)ほか、車いす陸上選手らトップアスリートのコンディション管理を「食と栄養面」からサポート。また、ジュニア世代と保護者に向けての食育活動も行う。アメリカ栄養士会スポーツ循環器栄養グループ(SCAN)並びに、スポーツ栄養の国際的組織PINESのメンバー。アメリカ栄養士会インターナショナルメンバー日本代表(IAAND)として、海外の栄養士との交流も多い。近著に『スポ食~世界で戦うアスリートを目ざす子どもたちに~』(ベースボールマガジン社)

URL:http://food-connection.jp/

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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