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欧米アスリートの4割が実践 話題の「グルテンフリー食」の気になる効果と現状

忙しく働く大人世代が日常のパフォーマンスを上げる方法を“食”から考える「THE ANSWER」の連載「働く人の食事術」。Jリーグやラグビートップリーグをみてきた公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏が日々のパフォーマンスを上げる食事術を指南する。

小麦粉を使った食品や炭水化物を減らす「グルテンフリー食」の気になる効果と現状は?
小麦粉を使った食品や炭水化物を減らす「グルテンフリー食」の気になる効果と現状は?

連載「働く人の食事術」―日本でも話題になった食事療法を解説

 忙しく働く大人世代が日常のパフォーマンスを上げる方法を“食”から考える「THE ANSWER」の連載「働く人の食事術」。Jリーグやラグビートップリーグをみてきた公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏が日々のパフォーマンスを上げる食事術を指南する。

 最近、スポーツ界を発信源として話題の「グルテンフリー食」。健康情報に敏感なビジネスマンも気になるところ。では「グルテンフリー食」とはいったい何なのか。スポーツの第一線にいる橋本氏ならではの情報、視点を交え、優しく解説してくれた。

 ◇ ◇ ◇

 プロテニス選手のノバク・ジョコビッチ氏が実践した食事療法として、日本でも非常に話題になった「グルテンフリー食」。超一流のアスリートが実践しているとあって、実践するまでいかなくても、効果が気になるビジネスパーソンは多いでしょう。

 グルテンフリー食とは、食品に含まれるタンパク質の一種、グルテンを除去した食事療法。元来はセリアック病の患者さん向けの食事ですが、健康に良いこと、体重や体脂肪が減ることを期待し、今ではセリアック病ではないアスリートたちも実践。世界的な食のトレンドの一つとなっています。

 セリアック病とは、小麦や大麦、ライ麦などに含まれるグルテンに反応して起こる、自己免疫疾患。一般的にはグルテンを摂取することで、下痢や便秘、腹部の不快感、気分の不調(不安やいらだち)といった症状が現れます。

 欧米のアスリートを対象に行われたある研究によると、アスリート910人中、非セリアック病のアスリートの41%がグルテンフリー食を実施。しかも、大多数の選手(81%)が、腹部膨満、下痢、 疲労といった、症状が改善したと回答しています。また、世界のトップアスリートたちが集結するオリンピックの選手村食堂でも、選手や栄養士からのリクエストが多く、必ずグルテンフリー食が用意されています。

 一方、グルテンフリー食とパフォーマンスの関連についての研究は、現時点では少なく、グルテンフリー食がパフォーマンスに有利に働くとは言い切れません。しかし同時に、全く効果がないと言えるほどの研究も行われていないのが現状です。私もアスリートやコーチたちに「グルテンフリーは体にいいの?」「効果はあるの?」と時々、聞かれますが、アスリートにとって良い悪いと言うには時期尚早だと伝えています。

 それでも、グルテンフリー食を始めたことで、体調が良くなったと実感する選手もいますので、パンやパスタなどグルテンを含む食品を制限することで、他の栄養素が不足しないよう、栄養アドバイスをしています。

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橋本 玲子

株式会社 Food Connection 代表取締役

管理栄養士/公認スポーツ栄養士

ラグビーワールドカップ(W杯)2019で栄養コンサルティング業務を担当。2003年ラグビーW杯日本代表、サッカーJ1横浜F・マリノス(1999年~2017年)、ラグビーリーグワン・埼玉パナソニックワイルドナイツ(2005年~現在)ほか、車いす陸上選手らトップアスリートのコンディション管理を「食と栄養面」からサポート。また、ジュニア世代と保護者に向けての食育活動も行う。アメリカ栄養士会スポーツ循環器栄養グループ(SCAN)並びに、スポーツ栄養の国際的組織PINESのメンバー。アメリカ栄養士会インターナショナルメンバー日本代表(IAAND)として、海外の栄養士との交流も多い。近著に『スポ食~世界で戦うアスリートを目ざす子どもたちに~』(ベースボールマガジン社)

URL:http://food-connection.jp/

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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