選手たちから上がった驚きの声、「こんなのは遠征で食べたことがない」

「五輪代表の時は中3日や中2日の試合が続いたので『試合後にずっと、カレーライスを出すのはどうなんだろう』と考えました。そのため、ある試合直後に別の料理を出したところ『あれ、今日はなんでカレーないんですか!?』という声が上がったんですよ。その時点ですでに1週間で3回も食べているのに（笑）。それでも『試合の後はカレーでしょ』とみなさんが言うんです」

　ちなみにカレーライスは非常に好評で「次の日もカレーが食べたい」との声も上がったとか。ただ、翌日は2日連続のカレーライスではなく、もう一工夫を加えたメニューを出したという。

「現地のスーパーでうどんを調達して、試合後翌日のランチにカレーうどんにしたら大好評でしたね。これはA代表でも出したことがなくて、五輪代表で初挑戦したんですが、『こんなのは遠征で食べたことがないです！』とものすごく喜んでもらえました」

　西さんは嬉しそうにそう語る。“アジアで勝てない”と言われながらも、五輪アジア最終予選ではたくましい戦いぶりを見せたリオ世代の心温まるエピソードだが、カレーライスが選手の力の源となったようだ。

　試合直後のカレーライスなら、一般の家庭でも取り入れやすいかもしれない。試合で疲れ切った身体と心の栄養をリカバリーする一品として、手軽かつ最高のメニューといえそうだ。

【了】

茂野聡士●文　text by Satoshi Shigeno

ゲッティイメージズ●写真　photo by Getty Images