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コロナ自粛を米五輪選手はどう過ごした? 強化された代表チームの栄養サポート体制

最も印象的だったのは「決まった時間に規則正しく食事と補食を摂ること」

 トレセンの栄養士の話で最も印象的だったのは、「食事の内容以上に、決まった時間に規則正しく食事と補食を摂ることに気を配っている」という点でした。

 自粛生活では、選手たち自身が、生活のすべてをコントロールしなければなりません。そこで最も難しいのは、生活のリズムを保つことです。

 そして、生活のリズムを決める軸は、規則正しい食事と睡眠。なぜなら、人は食事や睡眠の時間が不規則になると、体内のリズムを調整する「体内時計」が乱れるためです。体内時計の乱れは、体重や体脂肪の変動や、睡眠不足によるストレスや不安の助長を招き、心身のコンディションに悪影響を及ぼします。トップアスリートともなると体の変調に対しても非常に敏感。ですから、生活リズムに生じる少しの差異が、コンディションやプレーに影響を及ぼします。

 そこで、栄養サポートチームは他のサポートメンバーとも連携。「何を食べるか」よりも「いつ食べるか」に重きを置き、1日のスケジュールやルーティンを含めた、自粛生活下での新しい生活サイクルの組み立をサポートしたそうです。困難な状況下において優先順位を明確に打ち出し、選手のコンディションを包括的に考えてサポートしていることは、非常に印象的でした。

 最後にもう一つ、とても興味深かったのは「自粛生活は『マインドフル・イーティング(Mindful Eating)』を実践するよい機会になったのでは」という報告でした。「マインドフル・イーティング」を簡単に説明すると、「食べることに集中し、体の声に耳を傾けながら食事をする」という考え方です。

 アスリートは通常、食欲だけに従い、食事を摂っているわけではありません。例えば、トレーニングがハードで食欲が落ちていたり、午後のトレーニングを前に空腹でなかったりしても、疲労回復やエネルギー補給のために食事を摂らなければなりません。また、トレーニング効果を上げるために、筋力アップに効果的なタイミングで決められた食事やプロテインを摂ったりもします。つまり、スポーツのためにベストな食事を考えるのが通常です。

 しかし、通常のトレーニングのルーティンから離れたことによって「ゆっくりと、時間に追われることなく味わって食べる」という、当たり前の食行動に立ち返るよいきっかけになったのではないかと、スカラメラさん。

「食べ物が手に入るありがたみ」や「料理を作る楽しみ」、そして「家族と味わいながら食べる」食の楽しみ。コロナ禍による自粛生活を通じて、「スポーツのため」「勝つため」に食べる以外に、食事の大切さやありがたみを見つめ直したアスリートは、日本でも少なくないのではないでしょうか。

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)

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橋本 玲子

株式会社 Food Connection 代表取締役

管理栄養士/公認スポーツ栄養士

ラグビーワールドカップ(W杯)2019で栄養コンサルティング業務を担当。2003年ラグビーW杯日本代表、サッカーJ1横浜F・マリノス(1999年~2017年)、ラグビートップリーグ・パナソニック ワイルドナイツ(2005年~現在)ほか、車いす陸上選手らトップアスリートのコンディション管理を「食と栄養面」からサポート。また、ジュニア世代と保護者に向けての食育活動も行う。アメリカ栄養士会スポーツ循環器栄養グループ(SCAN)並びに、スポーツ栄養の国際的組織PINESのメンバー。アメリカ栄養士会インターナショナルメンバー日本代表(IAAND)として、海外の栄養士との交流も多い。近著に『スポ食~世界で戦うアスリートを目ざす子どもたちに~』(ベースボールマガジン社)

URL:http://food-connection.jp/

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビューや健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌などで編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(共に中野ジェームズ修一著、サンマーク出版)、『つけたいところに最速で筋肉をつける技術』(岡田隆著、サンマーク出版)、『カチコチ体が10秒でみるみるやわらかくなるストレッチ』(永井峻著、高橋書店)など。

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