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サッカー日本代表はカレーライス 試合に影響する「コンフォート・フード」の大切さ

各国によって特徴さまざま、海外選手のコンフォート・フードを紹介

 ときにスポーツ栄養士としては、来日した外国のチームや日本のチームに移籍した外国人選手のコンフォード・フードに気を配ることに仕事の一つ。今回はこれまで取材や仕事で接してきた各国のコンフォード・フードについてお話ししましょう。

 アイルランドのチームが外せないのは、じゃがいも料理と朝食のポリッジ。じゃがいも料理はマッシュポテト、ボイルドポテト、ローストポテトなど、毎食、調理方法を変えて選手たちが飽きないようにしています。ポリッジはオートミールをゆでて柔らかくした、日本でいうおかゆのようなもの。水、牛乳、あるいは低脂肪乳で煮て柔らかくしますが、何でゆでるかはチームの嗜好や選手のお好み次第。ともにシンプルな料理ではありますが、こだわりが見られます。

 アイルランドのラグビー代表チームの栄養士に取材したときに興味深かったのは、試合前の食事です。選手に必ず提供するのは、「ビーフカネロニ(牛肉を使ったパスタ料理)とアップルクランブル(りんごのスイーツ)」という高脂肪・高炭水化物のハイカロリーメニュー。高脂肪の食事は胃にかかる負担が大きいため、セオリーからすると試合前のアスリート食としてはNGです。でもこれを食べないと、彼らは力が湧いてこない。コンフォード・フードは必ずしも健康的である必要はないのです。

 ニュージーランドの選手の食事に欠かせないのは、朝食の「Weet-Bix(ウィートビックス)」。オーストラリアのメーカーの全粒小麦のシリアルですが、ビスケットのように固められているのが特徴。これに牛乳をかけて柔らかくして食べたり、牛乳、バナナと一緒にミキサーにかけて「食べるドリンク」にしてみたり。

 多くの家庭で食べられているシリアルなので、子どもたちの間では「Weet-Bixを何個食べられた?」を競うのが、昔からある光景のようです。以前、ニュージーランドの栄養士から、「プロのラグビー選手は子供の頃に食べたWeet-Bixの数を自慢する」と聞き、なるほど、大人になってからもネタになるほどの定番なのか、と面白かったです。

 日本の選手たちが主食の米の味や炊き方に敏感なように、欧米の選手たちはパンやシリアルにこだわる場合が多い。気に入ったメーカーのものが手に入らなければ、チームの担当者あるいは各自が持参します。ピーナッツバターやベイクドビーンズなども遠征先に「お気に入り」を持っていくチーム・選手が多いようです。

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橋本 玲子

株式会社 Food Connection 代表取締役

管理栄養士/公認スポーツ栄養士

ラグビーワールドカップ(W杯)2019で栄養コンサルティング業務を担当。2003年ラグビーW杯日本代表、サッカーJ1横浜F・マリノス(1999年~2017年)、ラグビーリーグワン・埼玉パナソニックワイルドナイツ(2005年~現在)ほか、車いす陸上選手らトップアスリートのコンディション管理を「食と栄養面」からサポート。また、ジュニア世代と保護者に向けての食育活動も行う。アメリカ栄養士会スポーツ循環器栄養グループ(SCAN)並びに、スポーツ栄養の国際的組織PINESのメンバー。アメリカ栄養士会インターナショナルメンバー日本代表(IAAND)として、海外の栄養士との交流も多い。近著に『スポ食~世界で戦うアスリートを目ざす子どもたちに~』(ベースボールマガジン社)

URL:http://food-connection.jp/

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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