[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

佐々木麟太郎の進路選択で浮き上がる、大学での“学び”の日米差 期限なき休学の裏にある価値観

プロ野球のドラフト会議で、ソフトバンクが1位指名し交渉権を得た佐々木麟太郎内野手(米スタンフォード大)について27日、日本国内での窓口となっているナイスガイ・パートナーズ社が都内で会見を開き、現状説明を行った。佐々木の進路選択は、大学での“学び”に関する日米の違いを浮き上がらせてもいる。

米スタンフォード大の佐々木麟太郎【写真:ロイター/アフロ】
米スタンフォード大の佐々木麟太郎【写真:ロイター/アフロ】

最初の決断は来夏、日米プロ入りに加えて大学に残る可能性も

 プロ野球のドラフト会議で、ソフトバンクが1位指名し交渉権を得た佐々木麟太郎内野手(米スタンフォード大)について27日、日本国内での窓口となっているナイスガイ・パートナーズ社が都内で会見を開き、現状説明を行った。佐々木の進路選択は、大学での“学び”に関する日米の違いを浮き上がらせてもいる。

 佐々木は23日のドラフト会議を、深夜の米国でネット視聴。直後には交渉権を獲得したソフトバンクの王貞治会長からエージェント経由で連絡を受けた。ドラフト前に現地視察を済ませた球団も8つにのぼった。

 ただ、同社の木下博之さんによれば「指名されるということを、全くわかっていなかったので……」。抽選を外したDeNAを含め、2球団の1位入札に佐々木本人や、花巻東高(岩手)監督でもある父・洋さんの驚きは大きかった。「指名権を無駄にしてしまう可能性がある中で、指名してくださった球団に失礼のないようにしたい」という佐々木側の考えもあり礼を尽くすが、指名あいさつの後は入団交渉など、進路に関する動きを来年6月のシーズン終了まで控えるという。

 その後、7月にはMLBドラフトがあり、ここでも指名を受ける可能性がある。ただ木下さんはこのタイミングで大リーグ入りの可能性を「夢としてはありますが、それが第一の選択肢になるかは全くわからない。本当になってみないと」と説明する。世界最高峰への道が開けても即断せず、スタンフォード大に残る可能性もある。

 というのも、佐々木が花巻東高の卒業時にプロ志望届を提出せず、米国への進学を決意したのは早期の大リーグ入りを目指したからではない。洋さんの「長い人生を考えたときに、もっともっと色々な学びであったり、人との関係値を深めてほしいと願って、静かな環境で学業と競技に専念してほしい」という願いがあってこそだった。佐々木もプロ入りの時期とは別に、しっかり学問を修め、大学を卒業することを目標にしている。そこで注目されるのが、日米で異なる休学制度だ。

 日本の大学では、休学が認められる期間は1~2年が大半だが、米国では期限がないのだという。スポーツ選手がプロへ進むために大学を離れても、現役を終えた後に学び直し、卒業した例もいくらでもある。木下さんも「アメリカでは自分の才能を旬な時に、求められる場所で生かすのだという価値観、常識がある」と説明する。佐々木が来夏、日米どちらかでプロ入りする道を選んだとしても、それとは別に学問の道も残るというのだ。

 佐々木は現在、英語で授業を受け、レポートを作成し単位を得るという、1人の大学生としてもハードな生活を送っている。その中で会計学に興味を示すなど、興味の幅も広い。自由な米国の制度の中で、一体どんな道を選ぶのか。米国での大学進学を目指す日本の野球選手は、少しずつ増えている。一つの道しるべにもなりそうだ。

(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
Asahi
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集