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クリケット転向の元DeNA内野手 高卒3年目の戦力外で考えた“二十歳なりの引き際”

山本が店長を務めた佐野市の「クリケットカフェ」【写真:佐野クリケットチャレンジ!!提供】
山本が店長を務めた佐野市の「クリケットカフェ」【写真:佐野クリケットチャレンジ!!提供】

“クリケットのまち”佐野市へ移住「どっぷり浸かりこみたかった」

 プロ野球で「支配下を勝ち取れなかった」という答えが出ていたからこそ、現役生活に未練はなかった。引退決断後、子どものころから憧れていた海外での生活を考えていたある日、たまたまクリケットの映像を目にした。広島、西武などでプレーした木村昇吾が挑戦していたことで競技名は知っていたが、ルールなどは全く知らなかった。

「野球と似ている部分もあるのではないか」。やってみたいという自分の直感を信じた。引退決断後は体を動かしていなかったが、年明けから再び体を鍛え始めた。19年3月には日本クリケット協会(JCA)にメールで連絡を取り、5月から本格的にクリケット選手としてスタートを切った。

 同時に、日本で唯一の国際規格を備えたグラウンドのある栃木・佐野市に移住。地元の神奈川から離れ、“クリケットのまち”として地方創生を進める街で1人暮らしを始めた。19年9月からは半年間、競技が盛んなオーストラリアに渡り、クラブチームで経験を積んでいる。

 佐野市では、期間限定営業の「クリケットカフェ」で店長を務めた(現在は閉店)ほか、協会が行っているクリケット教室のコーチとして小学生の指導を行っている。ラーメン屋「日光軒」での日中アルバイトなどからも収入を得ながら、練習に励んでいる。

「クリケットをやる環境として、日本で一番整っているのが佐野市。神奈川から通う選択もできましたが、どっぷり浸かりこみたかったので、住もうと。地域の人も親身になって応援してくれますし、期待されるというのがスポーツ選手においてはなにより嬉しい。やりがいを感じています」

 今では日本代表強化選手団に選出されるレベルとなったが、まだまだ発展途上だ。野球とクリケットは、バットで投球を打つという点では類似しているかもしれない。ただルールは全く違い、テクニカルな部分も「やっぱり別物」だという。

 野球ではバッティングを売りとしてきた山本。経験が活きていると感じているのはスローイングなど守備の面だ。クリケットでは、投手にあたるボーラーが助走をつけて投げるワンバウンドのボールを360度に打ち返さなければならず、打撃の難しさを感じている。

「クリケットは空中で変化して、バウンドしてまた変化してくる。2段階変化するような形。カーブして地面に当たっても、回転の関係で真逆に曲がることもある。そこを判別するのはリリースの瞬間だと言うんですが、全然まだ見えないですね。アウトになるのは大体そこなんですけど、難しい」

 最初はバットに当てるのも苦労したが、クリケットのスイングには少しずつ慣れてきた。昨年は1人で1試合100打点を稼ぐ「センチュリー」を初めて記録。直近の目標は、10月に佐野市で開催される男子T20ワールドカップ(W杯)東アジア太平洋予選で日本代表入りすることだ。

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