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「毎日が最後の日と思って」 金メダル後の1年間、一度は消えた心の火…苦悩の末に見つけた1つの答え――スピードスケート・佐藤綾乃

スピードスケートの女子団体追い抜き(チームパシュート)で、2018年平昌五輪、22年北京五輪と2大会連続のメダルを獲得した佐藤綾乃(ANA)が、「THE ANSWER」のインタビューに応じた。北京五輪後、長年にわたってともに戦った高木姉妹の姉・菜那が現役を退き、妹の美帆は個人のチームを立ち上げた。ナショナルチームに1人残った佐藤。大きく変化する環境に戸惑いながら戦った1年間の苦い経験が、3度目の五輪シーズンに臨むスケーターの心に、真っ赤に燃える火をともしている。(取材・文=長島 恭子、ヘア&メイク=榊 美奈子)

「THE ANSWER」のインタビューに応じた佐藤綾乃【写真:回里純子】
「THE ANSWER」のインタビューに応じた佐藤綾乃【写真:回里純子】

北京五輪後にいなくなった、前を走る先輩たちの姿

 スピードスケートの女子団体追い抜き(チームパシュート)で、2018年平昌五輪、22年北京五輪と2大会連続のメダルを獲得した佐藤綾乃(ANA)が、「THE ANSWER」のインタビューに応じた。北京五輪後、長年にわたってともに戦った高木姉妹の姉・菜那が現役を退き、妹の美帆は個人のチームを立ち上げた。ナショナルチームに1人残った佐藤。大きく変化する環境に戸惑いながら戦った1年間の苦い経験が、3度目の五輪シーズンに臨むスケーターの心に、真っ赤に燃える火をともしている。(取材・文=長島 恭子、ヘア&メイク=榊 美奈子)

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「昨シーズンは納得のいく自分の滑りができませんでした。要因はいろいろありますが、自分の体を新たな視点で見て、何が足りないのかをもっと知っていく必要があると改めて感じています。今シーズンは五輪に出場し、どの種目でも100%自分の力を出し切ること。そしてメダルを獲ることを目標に頑張っていきたい」

 スピードスケート日本代表の佐藤綾乃にとって、特別なシーズンがやってくる。

 2026年2月6日に開幕するミラノ・コルティナ冬季五輪。日本は今、夏目前だが佐藤ら冬のトップアスリートたちの照準はすでに、銀雪のヨーロッパにある。

チームパシュートで銀メダルを獲得した北京大会後は一転、苦しい1年だったという佐藤【写真:回里純子】
チームパシュートで銀メダルを獲得した北京大会後は一転、苦しい1年だったという佐藤【写真:回里純子】

「五輪シーズンに入ると無意識に体にスイッチが入ります。例えば、私たちは国内の大会では1本1本滑るたびに乳酸値などを測りますが、数値やタイムが他のシーズンに比べて良い。無意識下で、いつも以上に肉体を追い込んでいることが分かります。こんなことを言うと『常に全力でやれ』と言われそうで恥ずかしいのですが、自覚できないレベルで体が動くんです」

 高校時代から日本代表として個人種目、そしてチームパシュートで戦歴を重ねた。なかでも、多くの人が真っ先に想い浮かぶレースは、高木美帆(TOKIOインカラミ)、高木菜那(22年に引退)とともに出場した、冬季五輪の女子チームパシュートだろう。18年の平昌大会で金メダル、22年の北京大会で銀メダルを獲得したレースは、今もなお記憶に新しい。

 しかし北京大会後は一転、佐藤にとって苦しい1年となった。長年、チームパシュートでともに戦ってきた高木菜那、押切美沙紀は引退。高木美帆は個人のチームを立ち上げた。1人、ナショナルチームに残る選択をした佐藤。だが「気持ちのスイッチの切り替えが難しかった」と話す。

「ナショナルチームに加入した時から、一番年下の立場で美帆さんたちと一緒に滑ってきましたが、前を走る先輩たちが急にいなくなってしまった。自分も変わらなければいけない時期に来たと分かってはいたものの、後輩たちを引っ張っていく立場になっても、自分より速い選手がいても心に火がつかなかった」

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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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