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大学で消えかけた甲子園右腕が“2軍球団”で復活 リーグトップ5勝&42Kの秘密…アナログで積み上げる「原点」

手書きで反省点をつづる能登【写真:羽鳥慶太】
手書きで反省点をつづる能登【写真:羽鳥慶太】

試合後すぐに取り出すノート…スマホ時代に逆行する意味

 技術的なベースとなる“原点”は、股関節を意識することでつかんだ。イニング間のキャッチボールでも、関節の動きと重心の乗せ方を意識したルーティンをつくり、いつでも戻せるようにした。ただプロのシーズンを乗り切るには、140試合近くを戦う中でいかに調子の波を少なくするかがより重要。球場も天候も毎回違う中で、対応力という引き出しを増やしていかなければならない。

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 能登がそのために取り組むのが、デジタル時代に逆行した反省法だ。試合後のミーティングが終わるとすぐ、小さなノートをベンチで取り出す。試合で何を感じたのか、具体的に場面を振り返りながら、一心不乱に小さな文字でつづっていく。記憶が生々しいうちに、すぐ行うのがポイントだ。

 さらにその後、保存用のノートに写す。スマホ時代でも、あくまでも手書きで行うことに意味がある。「文字が汚くて恥ずかしいんですが、やっぱり書くことによって覚えられるんですよ」。書けば書くほど、どうすればいいのか頭に浮かぶようになる。オイシックスに来てからの反省がつづられたノートは5冊目で「調子が悪くなった時には見返すようにしています」。言わばこれは、精神的な“原点”だ。経験がたまればたまるほど、修正へのヒントも増える。

 スポットライトを浴びた経験がある。旭川大高3年だった2019年、エースとして北北海道大会を勝ち抜き、甲子園に出場した。1回戦の相手は、のちにヤクルト入りする奥川恭伸投手を擁する星稜(石川)だった。試合前の注目度には大差があったが、終わってみれば0-1。能登は最速153キロで完封した奥川の向こうを張り、1失点完投した。今も野球で上を目指す大きな原動力だという。

「見てくれていた人も多いですし、あの時の能登と地元では言ってくれるんです。野球を続けている以上、あの時よりダメな選手にはなっちゃいけないという思いでやっています」

 今季のこだわりは、白星の数に置く。「先発する以上、チームが勝つことが1番大切。それが表れるのは勝利数ですからね。今年は1番のチャンス。年齢的にも勝負だと思います」。大学から社会人という経路でプロを目指す同世代も、今季一斉に指名解禁となる。身長183センチに小顔、足の長さが揃いまるでモデルのようなルックス。NPBへのラストチャンスを生かせるか。

(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)

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