[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

ドネアももどかしい井上尚弥への“疑念” 米国、世界よ「見ればわかる」 真の戦士と認める男への敬意

ボクシングの世界スーパーバンタム級(122ポンド=55.3キロ以下)4団体統一王者・井上尚弥(大橋)は4日(日本時間5日)、米ネバダ州ラスベガスのTモバイル・アリーナでWBA世界同級1位のラモン・カルデナス(米国)と防衛戦を行う。3日(同4日)は会場近くのホテルで前日計量が行われ、井上が121.9ポンド(55.3キロ)、カルデナスも121.8ポンド(55.2キロ)でともにパス。会場にはかつて井上と戦った元世界5階級制覇王者ノニト・ドネア(フィリピン)の姿も。取材に気さくに答えたドネアの一言一句に、モンスターに対する敬意が表れていた。

約3年ぶりの再会、笑顔で握手する井上尚弥(左)とノニト・ドネア【写真:荒川祐史】
約3年ぶりの再会、笑顔で握手する井上尚弥(左)とノニト・ドネア【写真:荒川祐史】

井上尚弥VSカルデナス

 ボクシングの世界スーパーバンタム級(122ポンド=55.3キロ以下)4団体統一王者・井上尚弥(大橋)は4日(日本時間5日)、米ネバダ州ラスベガスのTモバイル・アリーナでWBA世界同級1位のラモン・カルデナス(米国)と防衛戦を行う。3日(同4日)は会場近くのホテルで前日計量が行われ、井上が121.9ポンド(55.3キロ)、カルデナスも121.8ポンド(55.2キロ)でともにパス。会場にはかつて井上と戦った元世界5階級制覇王者ノニト・ドネア(フィリピン)の姿も。取材に気さくに答えたドネアの一言一句に、モンスターに対する敬意が表れていた。

【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら

 拳を交えて睨み合った時とは全く違う、溢れんばかりの笑顔が咲いた。計量を一発でクリアした井上を会場の特設インタビュー席で出迎えたドネア。肩を組んで記念撮影するなど、和やかな雰囲気が生まれた。「会えて本当に嬉しい。リングの外では友達なんだ」。2022年6月の2度目の対戦以来、約3年ぶりの再会。会場インタビューでは井上に「モチベーションは何か」と問いかけた。

 その後、取材に応じたドネアは質問の意図を明かす。「素晴らしいのは彼が満足しない人間であること。多くのチャンピオンは彼のレベルに到達すれば満足してしまう。私も満足してしまい、それから負け始めた。だから彼に質問したんだ。何が原動力になっているんだってね」。42勝を積み重ねた42歳の元世界5階級制覇王者でさえも陥った慢心。妥協を許さない井上の精神性を「間違いなく真の戦士」と称えた。

 2019年11月にはワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ決勝で激突。代名詞の左フックを浴びせ、井上に鼻骨と右眼窩底骨折を負わせた。しかし、最後は判定負け。2022年6月のWBA・IBF・WBC世界バンタム級統一戦では2回TKOと完敗だった。「彼は自分を見つめ直す機会をくれた。私はもう21歳とか、25歳じゃないんだよってね」。10歳下の好敵手との命のやり取りを謙虚に振り返った。

「逆境から学ぶことができる。彼も最初に私と戦った時のように、逆境がボクサーとして成長させたんだ。精神的にとてもうまくやっているよ」。その言葉の通り、井上もインタビュー席で「一つ分岐点となった試合。ありがとうと伝えたい」とドネアに感謝した。

 井上の実力を身をもって知るからこそ、まだある疑いの声にもどかしさを感じる。「多くのボクサーは彼がやってきたことを測るのに十分なほど彼の試合を見ていない。だから、今回はここ(ラスベガス)に来るのに最高の時期だった」。モンスターの凄さは見ればわかる。だからこそ、もっと本場・米国に来てほしいと願う。「そうすれば全ての噂や疑念は消え去るさ」。力強く太鼓判を押した。

 前述のドネアの問いに井上は「まだまだ強くなりたいという気持ちです」と答えた。カルデナスに勝利し、4度目の4団体同時防衛に成功すれば世界最多タイ記録。KO勝ちなら、元世界ヘビー級王者ジョー・ルイス(米国)を超える歴代単独最多の世界戦23KOとなる。だが、それは果てしない旅の途上に過ぎない。

(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
CW-X
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集