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なぜ、高橋大輔は今なお輝けるのか 「ボロボロだった」復帰から取り戻した“質”

高得点に結びついたルール変更と高橋が披露した“質”

 そして迎えた全日本選手権。ファンもスケート関係者も報道陣も、果たして高橋大輔という一時代を築いた元日本エースがどこまでの演技を見せるか興味津々だったが、ショートプログラム(SP)では見事期待に応えた質の高い演技を見せてくれたと言っていいだろう。ジャンプの着氷で少し乱れたところはあったが、ほぼノーミス演技を披露して88.52点を出してSP2位発進となった。

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 平昌五輪代表の田中刑事や、昨季の世界選手権5位で今季GP大会で初メダル(銅)を手にした友野一希、ジュニアGPファイナル銅メダルの島田高志郎ら世界選手権代表切符を争っている選手達を抑える好結果を出した。なぜ、高橋が自身よりも一回り近く若い選手達を上回る演技と実力を見せつけられたのか。それは、今季改正されたルールも影響しているかもしれない。

 ポスト五輪シーズンとなる今季は次の2022年北京五輪に向けて、それまでの4回転時代のジャンプ偏重ではなく、フィギュアスケート本来の表現面をもっと点数として与えようというルールに変更したからだ。例え高度なジャンプを跳んだとしてもそれにも質が問われることになり、転倒などの失敗には大きな減点がつくことになった。また、表現力をしっかり数値化してもっと幅広く評価しようということで出来栄え点(GOE)の加減点の幅を±5の11段階に増やしたことで、よりプログラムの完成度が問われるようになった。このことから分かるように、高難度の4回転ジャンプをバンバン跳んでいればいいのではなく、3回転のジャンプでもステップでもスピンでも質の高いものを行い、全体的にバランスのいいプログラムを完璧に演技することが高得点に結びつくのだ。だから、SPで高橋に4回転ジャンプがなくても、着氷で小さい乱れを出しても質の高いジャンプとステップでGOE加点がつけば、“バリバリ現役”勢を抑えることは可能だということを証明した。

 4年間も競技から遠ざかっていた高橋にSPで後塵を拝した若手が不甲斐ないのはミスが許されないSPで、それも武器にしなければいけない4回転ジャンプを転倒する失敗を出したことだ。飛車も角も持っていないで勝負に挑むほどの実力の持ち主であればいいが、やはり武器と呼べるものをしっかりと作って完成形にしなけられば話にならないだろう。そんなごく当たり前のことが、今大会右足首の負傷で欠場した羽生結弦とSP首位の宇野昌磨に次ぐ3番手を目指す選手たちに決定的に足りないように感じた。

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