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40歳シーズンで果たした“NPBデビュー” 不惑のレジェンドが一塁ヘッスラを敢行する理由「年齢は関係ない」

稲葉は独立リーグでレジェンド級の打撃成績を残してきた【写真:羽鳥慶太】
稲葉は独立リーグでレジェンド級の打撃成績を残してきた【写真:羽鳥慶太】

20歳に翻弄され感じた不安「このレベルでできるのかな?」

 そして今季は、遠征に連れて行ける選手数が限られるチーム事情から、本拠地での試合を中心に出場してきた。初めて戦うNPBのシーズン、試合数は独立リーグの倍近い。季節が進むとともに、若い選手と同じ驚きを感じながらのシーズンだ。

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「1軍の夢はかなわないかもしれないけれど、ここにいさせてもらえた感謝が、僕が今でもプレーを続ける原動力です」

 開幕前の3月、日本ハムの本拠地エスコンフィールドで行われた教育リーグ。稲葉は6回に代打で打席に立った。マウンドには、後に支配下登録されることになる福島蓮投手。この時点ではまだ20歳の右腕に、挑む世界の奥深さを突きつけられた。

「真ん中に150キロが来て、フォークもありました。あっという間に三振です。『このレベルでできるのかな?』と思い知らされましたね」と苦笑いする一方で、40歳になっても自身の課題に気づき、克服を目指せるのは幸せでしかないことも知っている。

「だから死に物狂いですよ。どんな形でも“H”のランプがついてくれればいい。年齢もあるんでしょうけど、みんな速いボールで攻めてきます。それをどう打ち返すかが今の課題です」

 世間のおじさんと同じハードルも感じている。「若いころと比べて、試合の前にやることが増えました。ヤクルトの石川(雅規)さんも言っていましたが、自分の時間がないくらい準備に時間をかけないと、本当に動けない。朝起きてストレッチして、関節を一つ一つ動かしてという感じです。他にも交代浴とか。疲労を抜く努力をしないと、体をあてにできないんです」。肉体を“起動させる”ための徹底的な準備は、若いころと変わった点だ。

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