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32歳の大迫傑が「無心」で走ったMGC 5秒差で敗れても気づけた「僕自身の変わらない強さ」

陸上の2024年パリ五輪マラソン日本代表を決めるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)が15日、東京・国立競技場発着で行われ、東京五輪6位入賞の前日本記録保持者・大迫傑(NIKE)は2時間9分11秒の3位で上位2人までの即時内定を逃した。五輪切符まで5秒差の2大会連続3位。悔しさの募る結果となったが、32歳になっても強さと成長を感じる1本だった。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

MGC男子で3位でゴールした大迫傑【写真:徳原隆元】
MGC男子で3位でゴールした大迫傑【写真:徳原隆元】

パリ五輪代表選考会

 陸上の2024年パリ五輪マラソン日本代表を決めるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)が15日、東京・国立競技場発着で行われ、東京五輪6位入賞の前日本記録保持者・大迫傑(NIKE)は2時間9分11秒の3位で上位2人までの即時内定を逃した。五輪切符まで5秒差の2大会連続3位。悔しさの募る結果となったが、32歳になっても強さと成長を感じる1本だった。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

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 冷静に、虎視眈々と、最後は冷たい雨を切り裂く熱走だった。

 気温14.6度、土砂降りの雨。五輪切符を争う決戦の号砲は、悪条件の中で鳴った。ライバルは前回2019年大会から約2倍の60人。通算130回目のマラソンとなる川内優輝がいきなり大逃げを打った。30キロ過ぎまで独走した36歳。大迫は目もくれず、2位集団で徹底的に自分のペースを守る。徐々に縦長になり、追撃の雰囲気を漂わせながらついた。

 35キロで先頭に立った小山直哉が終盤独走。残り3キロ、大迫は赤崎暁、川内とともに追った。「足はいっぱいいっぱい。けど、それはみんな同じ」。驚異の粘りを見せる川内をかわした。3番手で帰ってきた国立競技場。大声援を受けながら一時は距離を詰めたが、赤崎の背中は遠のいていった。

 2大会連続のMGC3位。優勝まで14秒、五輪切符までわずか5秒。「なかなか勝ち切れないですね」。またも即時内定はお預けとなり、息を切らしながら顔をしかめた。

「シンプルに優勝を狙っていたし、可能なだけのトレーニングを積んできた自信があった。選考レースはなかなか読めない要素が多い中、難しさを改めて感じました。もう一歩行きたい気持ちはあったけど、なかなか体がついてこない。前回と同様、こういったレースは勝ち切るのが難しいと改めて思った」

 赤崎が「大迫さんは絶対に上位に来る」と常に位置を気にしたように、東京五輪6位入賞の第一人者は真っ向から視線を受ける立場。「マークされるということは、安定した力を残しているということ」とポジティブに受け止める。レース2日前の会見では、目標ボードで「100%出し切る」と宣言。敗れた悔しさは募るものの、「僕自身の変わらない強さも発見できた」と新たな自負が芽生えた。

「こういうレースって『凄くいい体調で臨んでくる人が常に5人くらいいる』って、いつもコーチと話しているんです。だけど、いかに自分が力を出し切れたかが凄く大切。常にその位置で強くあるという、僕自身の強さもある。それは一つ証明できたかなと思います」

 日本記録保持者・鈴木健吾が12キロで、世界陸上代表の其田健也が16キロで棄権。転倒で離脱する選手もいた中、やはり大迫は優勝争いに加わった。

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