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マラソン挑戦は「世界でメダルを獲るため」 不屈のランナー尾方剛、世界陸上3位に生きた“悔しさ”

世界で勝つには「自分の存在を知ってもらわないといけない」

 尾方にとっては、福岡国際マラソンで結果を出したことが世界陸上でのメダル獲得にも繋がっていった。福岡国際と世界陸上は、どう繋がるのだろうか。

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「世界で勝つ、世界で結果を残すには、相手に自分の存在を知ってもらわないといけないんです。僕の場合は、福岡国際で勝ったということがすごく大きかった。それで世界のマラソン選手が、僕のことを理解してくれましたし、実際にヘルシンキの世界陸上では自分をマークしてきました。自分も強い選手を研究して、相手がどう動くのかをだいたい理解していた。僕の存在を意識すれば、それがプレッシャーになるし、逆に僕は有利に戦える。そのために福岡国際に出て、世界にアピールしようと思っていました」

 マラソンランナーには、相性が良いレースがある。尾方にとっては、まさに福岡国際マラソンがそうだったわけだが、1999年の初レースで走って以来、現役引退をした2012年まで全7回、福岡の街を走り抜けた。

■尾方 剛(おがた・つよし)

 1973年5月11日生まれ、広島県出身。熊野高3年時に1万メートルで当時の高校歴代3位の記録をマーク。山梨学院大2年時の箱根駅伝では10区で区間賞の走りを見せ、2度目の総合優勝に貢献した。その後は負傷などに苦しみ、中国電力入社後も低迷していたが復活。マラソンに挑戦し、2001年ベルリンマラソン4位を皮切りに国際大会で結果を残し始め、04年福岡国際マラソンで初優勝を果たす。05年世界陸上ヘルシンキ大会で銅メダル獲得。08年に念願の北京五輪出場を果たすも13位に終わった。12年の現役引退後は広島経済大陸上競技部の監督を務めるとともに、解説者としても活躍する。

(佐藤 俊 / Shun Sato)

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佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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