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ラグビー日本、“ニースの奇跡”へ 見えてきた戦法、イングランド必殺の足技を己の強みに

CTB中村亮土「キックのボールをいかに自分たちが相手にどうプレッシャーを掛けられるか」

 だが、CTB中村亮土は前向きだ。

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「スクラム、モールはしっかりFWが準備してますので、そこに対応してもらいたいのと、キックのところはBKの責任でもあるので、BKがいいコミュニケーションを取りながら、逆にキックのボールをいかに自分たちが相手にどうプレッシャーを掛けられるかというところが、今回のBKにとって大事なポイントだと思う」

 中村のコメントから可能性と期待が高まるのは、相手のキックボールを手にすることで、日本代表にはカウンターアタックを仕掛けるチャンスを得ることだ。

 もちろん、イングランドもステュワードを軸に、日本の攻撃を封じ込めるために激しいプレッシャーを掛けてくるのは間違いない。そこを、戦略家のトニー・ブラウン・アシスタントコーチ(AC)を軸に、いかに有効なアタックに繋げることができるかが、キッキング対策のカギを握る。
 
 このようなシチュエーションは、イングランドがいかに日本のアタックを封じ込み、日本がいかにイングランド防御を崩せるかの凌ぎ合いだが、日本代表にとって得意のスピードとスペースを駆使する見せ場でもある。同時に、大きくボールを動かし、相手を走らせることで、終盤の消耗を引き起こすことも重要な戦略になる。通算1勝5敗に終わった7、8月の代表戦では、消耗はさせてもスコアを引っくり返すまでには至っていない。今回の大一番で、どこまでイングランドフィフティーンの足を止めることができるかも焦点になる。

 イングランド戦前日に、同じスタジアムで行われたウェールズ―ポルトガルは、午後5時45分キックオフだったが、試合途中からは心地よい風が吹き、試合の後は涼風が吹いていた。日本―イングランドがキックオフを迎える3時間後には、気温や湿度だけでイングランド選手を消耗させることは容易ではない。自分たちの運動量やスピードで、相手のスタミナを奪うことが、“ニースの奇跡”を起こすための大前提になる。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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