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「本当の意味で世界の仲間入り」 8位快挙の田中希実が葛藤、最後に笑えた8日間の世界陸上

第19回は、26日(日本時間27日)の女子5000メートル決勝で8位入賞した23歳の田中希実(New Balance)。14分58秒99で日本人26年ぶり2人目の入賞の快挙だった。1500メートル準決勝敗退から投げやりな気持ちにもなった今大会。チームにネガティブな言葉を吐き出した日もあったが、支えに気づき、「本当の意味で世界の仲間入り」と頷ける大会となった。(取材・文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

世界陸上・女子5000メートル決勝8位でフィニッシュする田中希実(右)【写真:奥井隆史】
世界陸上・女子5000メートル決勝8位でフィニッシュする田中希実(右)【写真:奥井隆史】

ブダペスト世界陸上連載「陸上界の真珠たち」第19回

 ブダペスト世界陸上は19日から連日熱戦が繰り広げられている。「ドナウの真珠」と呼ばれる美しい街並みを誇るブダペスト。現地で取材する「THE ANSWER」では、選手や競技の魅力を伝えるほか、新たな価値観を探る連載「陸上界の真珠たち」を届けていく。

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 第19回は、26日(日本時間27日)の女子5000メートル決勝で8位入賞した23歳の田中希実(New Balance)。14分58秒99で日本人26年ぶり2人目の入賞の快挙だった。1500メートル準決勝敗退から投げやりな気持ちにもなった今大会。チームにネガティブな言葉を吐き出した日もあったが、支えに気づき、「本当の意味で世界の仲間入り」と頷ける大会となった。(取材・文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

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 世界で戦える。正真正銘、自分でそう言い切れる。田中はついにその領域まできた。

 16人による5000メートル決勝。ハイペースなのか、超スローなのか。スタート前は予想できなかったレース展開。蓋を開ければどちらでもなかった。「こんなに変化に富んだ展開になるとは」。ペースが乱高下する縦長の集団。田中は最後方まで下がったり、上位に顔を出したり。中盤は集団外側を走らされた。

 徐々に緊張感が増していくポジション争い。4000メートルで3番手まで上がった。ケニア、エチオピアの2か国7人が前へ出る。鉄人女王シファン・ハッサン(オランダ)もスパート。残り1周でさらに上がる。田中も懸命についた。最後の直線で6番手。スピードに乗る海外勢。入賞が見えたところで2人に追い抜かれた。

 結果は14分58秒99の8位。9位と0秒23差。入賞をもぎ取った。

「激しいレースで足を削り取られることなく、ラスト1周までくらいつくことができた。自分自身にワクワクしながら最後まで走り抜けられた。変化をつけながら練習をやってきた。今日は割といつも通りかなと。余裕を持ってできたので、しっかりレースに参加できていたと思う」

 7位以上はエチオピアとケニアがともに3人ずつ。ハッサンはオランダ国籍ながらエチオピアにルーツを持つ。最強の“アフリカ勢”に続いたのは日本人。まだ実力差はあるにせよ、過去のように決して蚊帳の外に置かれるようなレースではなかった。

 ペースの上げ下げもずっと想定していた光景だった。6月の日本選手権は1500メートルと合わせて2冠。ぶっちぎりの展開でも、「世界をイメージする」と視界には人影を描いた。ケニア合宿で追いかけた現地の猛者たち。国内の合宿に残像を持ち帰り、常に世界を意識した。

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