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やり投げ金・北口榛花、孤独とも闘ったチェコ生活 17歳で描いた「世界一の夢」で乗り越えた

武者修行したチェコで感じる孤独「好きでチェコに渡ったけど…」

 中学までは競泳とバドミントンで活躍。やり投げに出会ったのは、北海道・旭川東高で顧問に誘われてからだった。競技人口が少なく、自分で試行錯誤する日々。17歳の高校3年だった2015年、世界ユース選手権で優勝した。「この時、自分が(シニアでも)本当に世界一になれると信じて目標にした」

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 転機は19年。やり投げ大国・チェコで多くの実力者を生んだデービット・セケラックコーチに指導を直談判した。言葉もわからない状態からメールで熱意を告白。了承をもらい、チェコ語と英語も猛勉強した。

 直接指導を受けるため、チェコに渡り、世界を知った。周囲の実力は桁違い。何より孤独だった。

「自分で好きでチェコに渡ったけど、時間も違うし、ご飯も違うし、友だちもいないし、家族もいない。凄く寂しくなる」

 レベルが上がれば、世界各地を転戦する生活。コーチは先々で日本食店を探してくれた。着実に力をつけ、19年10月に21歳にして66メートル00の日本記録を更新。東京五輪は日本勢57年ぶりの決勝に進んだ。

 昨年オレゴン世界陸上は五輪も含め、日本女子フィールド種目初のメダル獲得。世界最高峰のダイヤモンドリーグ(DL)パリ大会で日本人初優勝を含む2勝を挙げ、一躍世界レベルの選手に飛躍した。

 だが、追われるプレッシャーは重い。5月のセイコーゴールデングランプリ(GGP)。投げのタイミングが微妙にズレていた。普段は厳しいコーチに「見た目は凄くよくなって、理想に近づいてる」と褒められても、距離に結びつかない。「自分では気に食わなかった」。イメージと結果が合わず、思考が堂々巡りした。

「こうやったら飛ぶとわかっているけど、それをやると飛ばない。でも、それができるようになれば、絶対に飛ぶとわかっている。けど、そうやっても投げられない」

 コーチには「日本では負けてはいけない」と言われ続けた。6月の日本選手権は2位。3連覇を逃し、愛嬌たっぷりの笑顔は一変、号泣した。

「苦しいです。今はどうしたらいいかわからなくなっている。『今までの自分を絶対超えたい』という気持ちがあるので、前の自分と同じ投げで同じように飛んでも、それは成功じゃないんじゃないか。『こんなところで負けていてどうするんだ』という気持ちが強い」

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