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勝てば天国、負ければ地獄の「戦争」 元Jリーグ助っ人が語るダービーの“重み”

負ければ自チームサポーターも容赦なく非難

 理由は簡単だ。スパルタとスラビアは、どちらも1893年に創設されている。つまり優に百年以上もライバル関係を続けている。政府に支援され、財政的にも恵まれたスパルタに対し、そこに立ち向かうスラビアはインテリ層から支持されてきたそうだ。

「スラビアは映画監督、作家、俳優、学生などが応援してくれていた」

 反骨精神が染みついている分だけ、スラビアサポーターは容赦がなかった。

「ダービーで1-5で負けた時は、そのままスコアを家に落書きされた。外に出てボクを見つけると、みんなが手のひらを思い切り広げて5失点を非難する」

 そんな状況だから、ライバルクラブの主将同士が地元で歓談などできるはずがなかった。そこで冒頭の発言になる。

「スラビアとスパルタのダービーは戦争だから……」

 勝てば天国、負ければ地獄。それがダービー。これは代表戦での話だが、3年前のブラジル・ワールドカップ準決勝で開催国がドイツに歴史的大敗を喫すると、決勝戦の応援に押し寄せたアルゼンチン人が、リオデジャネイロの街中に「7-1」のスコアを落書きしていた。

(文中敬称略)

【了】

加部究●文 text by Kiwamu Kabe


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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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