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高校サッカー選手権は日本に不可欠 観衆5万人の決勝に海外衝撃、Jユース凌ぐ成功とは

日本代表ストライカー輩出に見る高体連の価値

 しかしクラブユースが失敗している部分で、高体連が明らかな成功を収めているものがある。

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 カタールW杯、高体連は初めて代表選手数でクラブユースと並んだが、FW登録の4人はすべて高体連出身だった。浅野拓磨は四日市中央工、前田大然は山梨学院大学附属、上田綺世は鹿島学園、町野修斗は履正社。惜しくも代表から外れたFWを見渡しても、大迫勇也は鹿児島城西、古橋亨梧は興国、西村拓真は富山一、林大地は履正社、鈴木武蔵は桐生一と高体連組が並ぶ。

 ここに高体連の価値が見える。

「ストライカーは育てられない」

 それが通説だが、高体連ではストライカーが生まれ育っているのだ。

 高体連はあくまで教育の場であって、クラブユースのようにすべて一貫した合理的な仕組みを作ることはできない。同じレベルの技術の選手をすべてのポジションでは揃えられず、お互いが助け合う必要もある。不条理や理不尽なことを乗り越えなければならない。

 そのなかで個性が強い選手が出るわけだが、ストライカーは最たるポジションだろう。

 今回の選手権で得点王になった神村学園のFW福田師王も、卒業後はドイツのボルシアMGのセカンドチームに入団することが決まっている。思うようにパスをつなぐことができなくても、自分の一撃でチームを勝たせる。その使命を3年間背負うことで、ストライカーとして覚醒できる。合理性で片付けられない世界が、彼らのアドバンテージだ。

 やはり、「センシュケン」は日本サッカーに欠かせない。

(小宮 良之 / Yoshiyuki Komiya)

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小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

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