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高校サッカー選手権は日本に不可欠 観衆5万人の決勝に海外衝撃、Jユース凌ぐ成功とは

カタールW杯ではJユースと高体連出身者が13人ずつ

 入場者数だけではない。毎日のように地上波で放送され、その日のスポーツニュースでは結果がカバーされる。新聞、雑誌、ウェブのスポーツ記事でも、関心は高い。

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「理想的。羨ましい」

 隣国の中国や韓国のサッカーファンの間でも、「センシュケン」は大いに話題になっているという。高体連の頂点の一つである大会は、日本サッカーの財産だ。

 合理性で言えば、クラブユースでの育成が主流になるのは自然の流れだろう。プロのトップチームと連携し、一貫した指導を施すことができる。事実、ヨーロッパや南米では、それが通例だ。

 日本でも、今やクラブユースが主流にはなってきている。

 2010年の南アフリカ・ワールドカップ(W杯)までは大半が高体連出身者で、クラブユース出身は4、5人程度だった。しかし14年ブラジルW杯から人数は拮抗し、今回のカタールW杯でクラブユースが13人、高体連が13人と初めて並んだ。クラブユース隆盛は一つの流れと言える。

 レアル・ソシエダの久保建英のように、海外のクラブユースも、Jリーグのクラブユースも経験し、プロとして活躍する選手も出てきた。今後はレアル・マドリードのセカンドチームであるカスティージャまで昇格した中井卓大のようなケースも増えてくるかもしれない。

 しかし受け継いできた「センシュケン」の土壌は、まだまだ健在だ。

 その夢と浪漫のおかげで、全国隅々まで育成の網を張る役割ができた。小中学生のアカデミーで育った子供たちの受け皿となって、成長する機会を供給。身体的に未熟でクラブユースに届かなくても、高体連で競技を続けることで、チャンスをつかめるケースも少なくない。実際、クラブユースに昇格できなかった本田圭佑(星稜高出身)や鎌田大地(東山高出身)は、高体連から這い上がってきた。

 高校生たちが夢を見られる「センシュケン」があるのは、巨大なモチベーションだ。
 
「それでも、高体連とクラブユースの差はこれから広がる」

 そうした冷めた意見もある。

 繰り返すが、クラブユースはプロを意識した指導や肉体的、精神的なコンディショニングができる。また、トップチームとの交流もできることから、成長する条件が揃っている。同じように優れた素材の選手がいることで競争力も高いし、力の劣った選手、ポジションがないことでストレスもない。

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小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

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