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「為してきたから、今がある」 京口紘人、ボクサー人生17年の生き様が表れた王座陥落

ワタナベジムに飾られた歴代世界王者のパネル(左から王座獲得順)【写真:浜田洋平】
ワタナベジムに飾られた歴代世界王者のパネル(左から王座獲得順)【写真:浜田洋平】

後輩に見せたい世界王者の姿「結果が全ての世界かもしれない。けど…」

 先輩王者たちは引退。19年11月に田口がグラブを吊るすと、ジム唯一の世界王者になった。「自分も模範となれるように。もう29歳ですからね、今年」。気づけば周りは後輩ばかり。疲労の抜けにくさなど、少しずつ体の変化を感じている。メリハリをつけて練習し、周囲の意見を素直に聞いた上で取捨選択。昨年12月にWBO世界ミニマム級王座を奪取した同級生の谷口将隆とともに背中を見せている。

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「昔以上に周りのサポートの力を身に染みて感じている。1対1の戦いというより、僕はそういった人たちの思いを力に変えたい。その想いは今まで以上に強い。プライベートでも完全に試合のことしか考えてない。日常が本番に繋がる。ボクサーなので、日常から自覚を持っている」

 中学入学の直前からボクシングを始めた。叩いた門は大阪帝拳ジム。元WBC世界バンタム級王者・辰吉丈一郎がいた。厳しくも愛のある指導を受け、「ジョーちゃん」と慕う間柄。「世界チャンピオンになる」と唱え、17年7月に日本最速のデビュー1年3か月(プロ8戦目)でIBF世界ミニマム級王座を奪取した。2度防衛後、18年12月に2階級制覇を達成した。

「目の前のことをクリアしたら次の景色が見える」

 20年12月、カネロこと世界4階級制覇王者サウル・アルバレス(メキシコ)など、世界的スターを多く抱える英興行大手・マッチルーム社と日本人として初めて契約。直近2試合は米国、メキシコの完全アウェーで防衛した。迎えたビッグマッチは10年ぶり2度目の日本人による王座統一戦。一つずつ、着実に駆け上がり、「結果」を手に入れてきた。

「為せば成る」――。プロデビューから大事にしてきた。言葉にすればたった5文字だが、ここには16年半に及ぶ京口のボクサー人生が詰まっている。その重みを後輩たちにも知ってほしい。

「ずっと『将来、世界チャンピオンになる』と自分に言い聞かせて、きつい練習をしてきた。その自信が今に繋がっている。本当に『為せば成る』。為してきたからこそ、今に繋がっているんだなと。やってきたことは嘘をつかないということを信じて、努力して、それが試合当日に良い結果として出る。結果が全ての世界かもしれない。けど、それまでの過程も大事。

 後輩も日本チャンピオンになったり、世界挑戦が間近だったり、若い選手が増えてきた。自分もデビューした当時、先輩チャンピオンがたくさんいて、その位置に今は自分が立っている。その自覚を持っている。結果で後輩たちに世界チャンピオンの姿を見せたい。『頑張ってきたら、これだけのチャンスをいただける』という示しをつけること。最近ですね、先輩としてそういう気持ちを持てるようになったのは」

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