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日本ラグビーとの違いは「やったれ!」精神 渡仏した女子選手が見た強豪フランスの姿

フランス代表のガルティエHCは合同練習でしっかり日大も指導していた【写真:吉田宏】
フランス代表のガルティエHCは合同練習でしっかり日大も指導していた【写真:吉田宏】

フランス代表が重視していたラグビー以外の環境整備

「私がすごく感じたのは、ラグビーをする時以外の環境をしっかりと整えているということです。ラグビーをする時はラグビーに集中するのは当たり前で、誰もが理解している。でも、このチームはラグビー以外の生活を、いかにストレスフリーでできるかという、福利厚生の部分を重視していると思いました」

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 冨田が使った“福利厚生”とは、国際レベルのラグビーでは、この10年近く強化の重要なファクターとして使われてきた「ウェルフェア」と同義の言葉だ。グラウンド外の時間で、いかに選手のコンディションを、ラグビーをプレーするために最適な状態に保てるのか。そこにはフィジカル面だけではなく、メンタルの安定性も重要な要素になる。

 ニュージーランド代表のスター選手ボーデン・バレットが、2021年シーズンを日本でプレーしたのは記憶に新しいが、彼の来日も同国代表が積極的に導入する「サバティカル制度」を適用したもの。この長期休暇の制度もウェルフェアの一環だ。冨田は、自身の女子日本代表での経験を引き合いに出して、この福利厚生という領域での首脳陣を中心としたチームの環境作りに注目する。

「例えば私の経験だと、代表合宿では『何時まで〇〇をして、何時からは〇〇』という、予定の積み重ねで疲れてしまった経験もありました。そういう忙しいサイクルを、たくさん過ごすのが代表合宿なのだと当たり前のように思っていました。でもフランス代表は、やる時はやる、やらない時は徹底的にやらないというオン・オフの環境の整え方が凄いなという印象でした。そして、その1回の練習にすごく集中して取り組んでいました」

 そこにはガルティエHCの合理的な判断が影響しているという。

「代表ってグラウンドでの練習の前に、結構早朝からジムワークなどをしている合宿が多いですが、ファビアンさんは練習の強度がすごく高い日は、起床時間は遅くして、本当にその練習だけみたいなスケジュールを組んでいた。長く過酷な国内シーズンが終わったばかりだったからかもしれないけれど、私がリエゾンを務めた日本では朝6時に起きてヘッドスタートみたいな練習は1回もなかった。こういうメリハリの効いた環境の整え方が、一流なんだろうなと感じました」

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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