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日本ラグビーとの違いは「やったれ!」精神 渡仏した女子選手が見た強豪フランスの姿

フランス代表の日本遠征にリエゾンスタッフとして同行した冨田真紀子【写真:吉田宏】
フランス代表の日本遠征にリエゾンスタッフとして同行した冨田真紀子【写真:吉田宏】

メンバーの大半がプロ、上位チームのレベルは別格

 では、日本のチームが対戦したら勝てるのだろうか。国内外の経験が豊富な冨田は断言する。

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「クラブレベルなら日本も勝てると思います。日本の女子選手はすごくレベルが上がってきているから、そこまで大きな格差はないです。両方ともアマチュアですし、練習時間は、むしろ日本のチームのほうがありますから」

 日本の女子ラグビーの進化に手応えも自信も持つ冨田。だが、詳細を聞くと様相は変わってくる。

「私のプレーするポーは、日本のクラブでも戦えると思う。でも、上位チームは違います。例えばモンペリエ、ボルドー、トゥールーズのような強豪は、メンバー全員が代表選手のようなチームです。女子の6か国対抗をテレビで見ていると、『この選手(リーグで)対戦した』なんて選手がたくさんプレーしていますから」

 メンバーの大半がプロ選手という上位チームのレベルは別格で、躍進を続ける女子日本代表が上位の単独チームと対戦しても、勝つのは容易くないというのが冨田の見立てだ。日本代表の世界ランキングが現在13位ということから考えると、フランスのトップ4クラスのチームは世界ランキング10位に食い込む実力と判断して良さそうだ。

 そのようなトップ選手と、リーグ戦で毎週のように戦えるのが、冨田が望んでいた環境だ。だからこそ、本人が指摘した「やったれ」という強い気持ちで上位チームとの一戦に臨まなければ、トップ選手に太刀打ちできないし、その挑戦する姿勢こそがリーグのレベルを引き上げることにも繋がっている。

 女子リーグという舞台で挑戦中の冨田だが、ラグビーファンの関心は、やはり来年のW杯での躍進が注目される男子フランス代表の強さだ。元同国代表SH(スクラムハーフ)で、スター選手だったファビアン・ガルティエが2020年にヘッドコーチ(HC)に就任。昨季の6か国対抗をグランドスラム(5戦全勝)で制し、今年7月には同国史上初めて世界ランキングで1位に立つなど、自国開催W杯での悲願の初制覇に期待が高まっている。

 従来は“シャンパンラグビー”と呼ばれる奔放なアタックを持ち味としてきたフランス代表だが、今はフィジカル面でも骨太な英国系チームをも凌駕するパワーを身につけ、スクラムでも世界屈指の強さを身につける。そこに、日本戦でも随所に見せた伝統の鋭いアタックが織り交ぜられている。

 日本遠征のサポート役であるリエゾンとして、フランス代表に同行した冨田も「ぜひ、優勝してほしいですね」と期待する“レ・ブリュ”(青=フランス代表の愛称)だが、間近で見た強豪国の姿はどのように映っていたのだろうか。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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