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“サッカー王国”清水とロシア代表 日韓W杯で滞在、関係者が忘れない日本に敗戦後の姿

ロシア代表がキャンプを張ったJ-STEP。早朝から人々が集まりスポーツを楽しんでいる【写真:宇都宮徹壱】
ロシア代表がキャンプを張ったJ-STEP。早朝から人々が集まりスポーツを楽しんでいる【写真:宇都宮徹壱】

「絶対に負けられない相手」との間に生まれた交流

 2002年大会のロシアといえば、日本と同じグループHに組み込まれており、日本が悲願の決勝トーナメント進出を果たす上での“最大のライバル”と目されていた。とはいえ、いくら「絶対に負けられない相手」であっても、清水市民にとってロシア代表は大切なお客様。彼らのことをより深く理解しようと、中央公民館ではロシア語やロシア料理などの文化講座が、そして市民文化会館大ホールではキーロフ歌劇場フィルハーモニー管弦楽団の特別公演会が、それぞれ行われている。

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 今回、静岡市清水区を訪れた4月下旬は、ロシア軍によるウクライナ侵攻が始まって2か月が経過していた。折しもキーウ近郊ブチャでの虐殺が明るみになり、ロシアに対する国際的な非難がかつてないほど先鋭化。あからさまな反ロシア感情が渦巻いているのは、我が国においても同様である。

 清水の人たちは、20年前のロシア代表キャンプのことを記憶から消したいのかもしれない──。清水駅前に戻るバスに揺られながら、ふとそんなことを考えてしまった。これから会う人は、往時と今のロシアに、どんな感情を抱いているのだろうか。

「私が小学校でサッカーの指導を始めた時、最初に指導したのが大木武や風間八宏の世代です。そのお兄ちゃんたちを見て育ったのが、長谷川健太や大榎克己や堀池巧の三羽烏。そのまた下が、エスパルス監督の平岡宏章です。最初の教え子がもう還暦になるんですから、私もそれだけ年をとったということですよね(笑)」

 そう語るのは、我が国の女性サッカー指導者の草分けとして知られる、綾部美知枝。幾多の選手や指導者を清水から送り出してきた「サッカー王国のゴッドマザー」も、今年で74歳になる。1994年、小学校教員から清水市教育委員会スポーツ振興課に異動。翌95年にサッカーのまち推進室室長に就任し、J-STEPの建設やW杯のキャンプ誘致にも深く関与した。ここで綾部から、驚くべき裏話が飛び出す。

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宇都宮 徹壱

1966年生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科修了後、TV制作会社勤務を経て97年にベオグラードで「写真家宣言」。以後、国内外で「文化としてのフットボール」を追う取材活動を展開する。W杯取材は98年フランス大会から継続中。2009年度ミズノスポーツライター賞最優秀賞を受賞した『フットボールの犬 欧羅巴1999-2009』(東邦出版)のほか、『サッカーおくのほそ道 Jリーグを目指すクラブ 目指さないクラブ』(カンゼン)、『蹴日本紀行 47都道府県フットボールのある風景』(エクスナレッジ)など著書多数。17年から『宇都宮徹壱WM(ウェブマガジン)』を配信している。

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