松田直樹は「他人を認めずにやってきた」 天性の負けず嫌いが示すサッカー育成の真理
メッシも証言「誰かにサッカーを教わったことなどない」
もちろん、指導者に教わったことはあるのだろう。U-17日本代表監督を務めていた故・小嶺忠敏氏のような理解者を得たのもあったかもしれない。コンバートのタイミングは運命的だ。
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しかし、すべてを好転させたのは、松田自身の天性と努力と巡り合わせによるものだろう。日々のトレーニングでポジションをつかみ、高いレベルで相手と競い、自分の足りない点を強化し、長所を伸ばした。それは教わってつかんだものではない。
「誰かにサッカーを教わったことなどないよ。自分で上手くなったんだ。当たり前じゃないか」
かつてリオネル・メッシは、インタビューで堂々と語っていた。もちろん、「世話になった恩師は?」という聞き方だったら、何人か指導者の名前を出したかもしれない。ただトップレベルの選手には、誰かにサッカーを教わってなれるものではない。教わっただけの選手は、残念ながらたとえプロになっても早晩、立ち往生することになるだろう。
むしろ非論理的な箇所に異を唱え、改善策を提示できるところまで考えるような選手が、時代を切り拓く。松田の盟友だった中田英寿は、まさに最たる選手だった。
「ようやくセンターバックの面白さが分かってきた」
晩年、松田直樹は楽しそうにそう言っていた。亡くなる直前まで、彼はサッカー選手としての成長を求め続けていたのだ。
(小宮 良之 / Yoshiyuki Komiya)