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宇野昌磨ら生んだ「フィギュア王国」の今 流出する才能、“愛知復権”への試行錯誤

「愛知=ジャンプ」からプラスアルファの武器を

 女子選手で初めてトリプルアクセルを成功させた伊藤みどり、4回転ジャンプを跳んだ安藤美姫、1つの競技会中に3度のトリプルアクセルを成功させたバンクーバー五輪銀メダリストの浅田真央。愛知にはジャンプの指導に優れたコーチが多く、高難度なジャンプを武器にするスケーターを輩出してきた伝統がある。

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 しかし、女子も4回転時代に突入し、愛知が得意としてきたジャンプで太刀打ちするという時代ではなくなった。だからこそ「スケートの基礎の部分をもう一度見直したり、表現力を磨いたりする必要がある。強化練習の現場でも、そこは強調して注意をしている」と久野さんは語る。

 ジャンプに関しても、これまでの技術指導だけでは不十分だという。

「難度が高くなればなるほど、やはり怪我のリスクが大きくなります。今の時代はジャンプの技術指導だけでなく、高難度のジャンプを跳ぶための体づくりが不可欠になっています。アカデミーにはバレエやトレーニングの施設もあると聞いています。体づくりからトータルでサポートしてもらえる環境があるのは、強みですよね」

 愛知でもトレーニングコーチを招き、陸上トレーニング、アップ、クールダウンの方法を学ぶなどの機会を作っているが、日々の練習現場ではそうしたトレーニングは選手本人に任されているところが大きい。

「最初は興味を持ってくれて、その時は真剣に取り組みますが、リンクを使える時間が限られているのもあって、しばらくするとやらなくなってしまう。連盟だけが頑張ってもできないことなので、必要性を周りに理解してもらえるよう情報共有を図っていきたい」

 ジュニアからシニアに向かう時期の怪我は致命傷になる。特に女子選手は、怪我をして一定期間練習を休んでしまうと、ジャンプの感覚を戻すのに時間がかかってしまう傾向があると、久野さんは警鐘を鳴らす。

「トップ選手は氷上練習の1時間くらい前から来て、アップをしっかりする。また、クールダウンもしっかりやる、そういう姿を間近で見ているはずなので、アップやクールダウンをする必要性を理解して見習ってほしいです」

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山田 智子

愛知県名古屋市生まれ。公益財団法人日本サッカー協会に勤務し、2011 FIFA女子ワールドカップにも帯同。その後、フリーランスのスポーツライターに転身し、東海地方を中心に、サッカー、バスケットボール、フィギュアスケートなどを題材にしたインタビュー記事の執筆を行う。

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