[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

一流サッカー選手と「遊び心」 元フランス代表監督が実験、指導者が理解すべき点とは

サッカーは「品行方正が尊ばれる世界ではない」

「サッカー選手というのは“大きな子供な部分”があるんだよ」

【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら

 ブランはそう説明している。

「この実験は、『選手が時間にルーズ』という結論には直結しない。彼らの多くは、ギリギリの時間に到着するという切迫感を、心のどこかで楽しんでいるんだよ。一般の人には信じられないことだろうが、人生がまるでゲーム感覚。その点で、彼らはまさに子供と言えるだろう。しかし自分もプロのフットボーラーだったから分かるけど、“遊び心”が根っこにあるものなのさ。品行方正が尊ばれる世界ではない。指導者は、まさにそこを理解すべきだ」

 サッカー選手は、人生そのものをどこかで遊んでいるという。時間ギリギリに到着できるか、という日常のどうしようもないことに自然体で賭けをし、その勝負に一喜一憂する。その感覚は幼稚とも言えるが、サッカーという不規則なスポーツで勝ち抜くのに、「遊び心」という余裕は必要な要素かもしれない。余白がないと強くストレスを感じてしまうからだ。

 言うまでもないが、一般生活では規律正しく、真面目であることは美徳と言える。サッカーでも「仲間を思いやる」という精神は求められる。はみ出し者のほうが良いということはない。しかし優等生であることが不可欠なキャラクターではないのだ。

「能力の高い選手というのは、たいていは複雑な性格の持ち主だよ。そういう選手こそ、チームに必要とされる。善良さは悪いことではないが、必須ではない」

 そう説明したのは、オランダ人監督フランク・ライカールトだった。かつてバルサを率いてアンドレス・イニエスタ、リオネル・メッシを抜擢し、ロナウジーニョ、サミュエル・エトー、カルレス・プジョル、ビクトール・バルデスのような個性的選手の力を最大限に引き出し、サッカー史に残るスペクタクルなチームを作り上げた。

1 2 3

小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
UNIVAS
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集