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東京五輪7人制ラグビー惨敗のワケ 今だから検証したい指導者人事とそのタイミング

最も重要なのは今大会のレガシーを継承し、失敗を改善すること

 コーチとしての経験値を積み重ねることの重要さは、リオ大会を終えて帰国した瀬川HCの言葉からもよく判る。

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「選手起用や采配で様々な成功もミスも重ね、学んできたことが、勝負を賭けた大一番での判断力、思い切った決断などで、チームのパフォーマンスを最大限に引き上げるために役に立った」

 当時は、瀬川HCへのアシスタントコーチ、スタッフらからの耳が痛い指摘などもあったという。そのような指導者としての様々な経験が判断力を磨き、最高の形で実を結んだのがリオでの4位だった。実は、そのスタッフの1人が、当時7人制代表総監督の岩渕氏だったのだ。瀬川氏は「(岩渕総監督からの)選手の起用や采配についての、ちょっとした指摘が、いい結果につながることも多かった。でも、今回はリオ当時のようなサポートが出来るスタッフも、多くはなかったのではないか」とも推測する。

 18年春に就任した岩渕HCだったが、20年、21年は新型コロナ感染拡大の影響で指導者としての経験値を十分に積み上げることが出来なかった。現役時代から7人制の高い戦術眼、判断力、スキルを持った岩渕氏には、指導者としての資質は十分にあったはずだ。リオでサポート役としてはチームに貢献したが、最終決断をしなければならないHCとしての手腕と、11位という結果の相関関係は、今後のHC人事のためにもしっかりと検証するべきだろう。

 コロナ感染が拡大する中で、代表チーム取材はオンライン会見に切り替えられた。その会見の中では、報道陣から選手へHCが協会専務理事という要職を兼ねることへの質問が何度もあった。このような衆人監視のオンライン会見の場では、ほとんどの選手が「影響なく指導を受けている」という発言を繰り返していた。岩渕氏自身も総括会見で「(敗因は)兼任していたからではなく、偏にHCとしての力量の問題だったと思う」と兼任による弊害を否定しているのだが、一部の選手からは間接的に「合宿ではHCはいないものと考えて取り組んでいた」という声も聞こえてくる。このような“表裏の情報“を含めて、実際に現場はどのような状態だったのか、強化は本当に順調に進んでいたのかも、協会内であからさまにするべきだろう。

 果たすことが出来なかった東京でのメダル獲得の意義は、母国開催や前回大会の4位からのステップアップに留まらない。同じく日本で2019年に開催された15人制ワールドカップで日本代表が巻き起こした熱気を引き継ぎ、日本中にラグビー、そして7人制の魅力を伝え、楕円球をより多くの人たちに親しみのあるものにしようという重責があった。オリンピックという、競技の垣根を越えた発信力を持ち、注目を浴びる舞台で、ラグビーの存在感をアピールする大きなチャンスだっただけに、協会および関係者の落胆も大きかったはずだ。

 東京五輪での日本代表の挑戦が終わり、瀬川氏に心境を聞いてみた。

「確かにリオを4位で終えて、HCを続けたい気持ちはありました。でも『4位以上のため』という判断には納得もしています。今回の結果は、どうこう言う立場にないが、重要なことは、ここからどうチームを強化していくかです」

「メダルを獲る」を最大のミッションに掲げてリオ五輪以降のチーム強化、コーチ人事が進む過程で、最高決議機関である理事会を含めたラグビー協会首脳たちは、7人制の強化についてどのような評価、審議をしてきたのか。任命責任者たちの足跡も確認するべきだろう。決して魔女狩りをする必要はない。2023年へ、そしてそれ以降へ向けて、適切であり、公正な人事に基づいてメダル獲得への強化が取り組まれるためには、リオから東京にかけての代表強化の遺産を継承し、失敗を改善していくことしか進化の道筋はない。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19年と6大会連続で取材。

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