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日本と初対戦で注目、“4年に1度”のドリームチーム「ライオンズ」とは一体何者なのか

スコットランド代表として日本代表と戦うグレイグ・レイドロー(写真は19年撮影)【写真:Getty Images】
スコットランド代表として日本代表と戦うグレイグ・レイドロー(写真は19年撮影)【写真:Getty Images】

レイドローが指摘する「日本のアドバンテージ」とは

 今ではラグビー界で定着するライオンズという愛称も、当時は使われず、正式に名乗るのは1950年の遠征からだった。ライオンズと呼ばれたのは、1924年の南アフリカ遠征時のチームタイに描かれたライオンから取られ、同遠征に帯同した記者たちが、この愛称を使い始めたのが起源ともいわれている。1900年代はブリティッシュライオンズ、日本でも全英ライオンズと呼ばれる時代が続いたが、現在は「アイリッシュ」が追加されている。ここには、歴史的かつ政治的な背景がある。

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 過去には「ブリティッシュ」を、地理学上のブリテン諸島、つまりブリテン島、アイルランド島らの総称と解釈されてきたが、独立国であるアイルランド共和国では、この名称に抵抗感も根強かった。そのため、2000年以降の活動では必ずブリティッシュ&アイリッシュと表記されている。歴史を感じさせるのは、ライオンズ誕生当時はアイルランドも英国の領土だったために、「ブリティッシュ」だけの呼称だったこと。アイルランドが英国から独立したのは、ライオンズ結成から30年以上後の1922年のことだった。

 4年周期で編成されるため、その戦術やスタイルは流動的だ。当該国代表で評価されたコーチが指揮を執るために、その指導者のラグビースタイルが反映されるのと同時に、基本的には大型FWがセットプレーで重圧を掛けながらも、ボールを動かしてトライを狙うラグビーを理想にかかげる。

 監督を務めるのはウェールズ代表を12年の任期で4度の6か国対抗優勝に導いたニュージーランド出身のウォーレン・ガットランド。ライオンズでは2013年、17年に続いて指揮を執ることになる名将だ。ウェールズ代表で見せたパスを多用してトライを狙うスタイルをチームに落とし込めば、日本代表戦は華麗な展開ラグビーが楽しめることになるが、果たして、このような戦いになるのだろうか。

 注目の日本代表戦だが、5月27日にアップしたコラムでも触れているので、参照していただきたいのだが、NTTコミュニケーションズでプレーする前スコットランド代表SHグレイグ・レイドローが興味深い指摘をしている。

「少し日本にアドバンテージがあるとすれば、ライオンズは最初の1、2試合は調整不足もあり、あまりいいゲームができないことが多い。そこはチャンスだろう」

 ライオンズでのプレー経験があるレイドローの発言だからこそ重みがある。ツアーを続けながらチームを固めていくのがライオンズの伝統的な手法でもあるため、どうしても遠征序盤の試合は苦戦を強いられることになる。2017年のニュージーランド(NZ)遠征では第1戦のNZバーバリアンズ戦は13-7で凌いだが、ブルーズとの第2戦は16-22で敗れている。

 日本代表主将のFLリーチ・マイケル(東芝ブレイブルーパス)も、レイドローの指摘と同じような期待感を持っている。

「ライオンズは(日本戦が)1試合目になるので、苦労する部分が沢山あると思う。なかなか試合勘がなく、たぶん疲れている選手もいると思うし、一発目の試合はいつもあまり元気ないはず。まだ完璧じゃないから。自分たちにはすごくいいチャンスかなと思う」

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19年と6大会連続で取材。