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ラグビー7人制代表は東京五輪でメダルを狙えるのか レジェンドの言葉から探る可能性

坂井がポジティブに1年の延期を受け止めている理由とは?

 今の状況を、選手はグラウンド上での皮膚感覚としてどのように捉えているのか。東京五輪が1年延期されたことが、チームに及ぼしたプラスとマイナスを坂井に聞くと、長く代表で活動してきた選手ならではの視点で語ってくれた。

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「まず、僕自身も含めて選手皆が思ったよりもポジティブにこの1年の延期を受け止めているのはいいことですね。1年前にWSSが始まって、5大会で1勝しかできなかった。そのままオリンピックを迎えていたらと思うと、ちょっと難しいところが正直あったと思います。でも、失った部分でいうと9人の選手が(代表を)離脱した。個人的な思いもありますけど、リオ五輪の後に選手が全く集まらない中で力を貸してくれた橋野(皓介、キヤノン)さんがチームを離れたことは非常にマイナスかなと思います。辛い時を知っている選手がチームを離れることは、僕自身としても大きな部分があると思います」

 どのチームにも必ず浮沈がある中で、苦しい時期を知る選手だけが持つ、厳しい状況に耐え、乗り越えてきた精神的な強さが、いかにチームに重要かを知るベテランだからこそ語れるマイナス点だろう。坂井にとって、2度目の五輪への道は、橋野の抜けた穴を補い、その無念の思いも背負いながらのチャレンジになる。

 そして、異例づくしの五輪への挑戦で、選手に最も求められるものにも坂井は触れている。

「我々選手に出来ることで一番大事なのは、メダルを獲るという強い意志かなと思います。現時点のランキングでいうと15、16位くらいですよね。そのチームが世界の3つに入るというのは相当厳しいと思う。昨年のW杯よりもハードルは高いと思います。それを目標に掲げたのであれば、やはり強い意志を持たないと難しい」

 15人制日本代表は、エディー・ジョーンズHCの下で、フィジカル、戦術的な進化とともにマインドセット、つまりどのような姿勢で代表、そしてW杯に挑むのかというメンタル面の強化を積み上げて、2015年W杯で南アフリカからの歴史的な勝利、そしてジェイミー・ジョセフHCがバトンを受けた2019年の8強入りという進化をみせた。同じように、7人制代表も、リオ五輪への強化の道程と世界4位という結果の中で、勝つための心技体を学び、高めてきたという自負がこのベテランの中にはある。

 感染への恐れや、感染対策による制約という、過去には予想すらしなかったラグビー以外の困難に囲まれる中でも、坂井の勝利への、メダルへの闘争心が潰えることはない。勝つことへの信念だけは、コロナにも、誰にも奪い獲ることはできない。この揺るぎのない自信を、メンバー全員が練習と実戦を通して持てた時、手に届く位置にメダルがあるはずだ。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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