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ラグビー7人制代表は東京五輪でメダルを狙えるのか レジェンドの言葉から探る可能性

リオ五輪は4位だった男子7人制日本代表【写真:Getty Images】
リオ五輪は4位だった男子7人制日本代表【写真:Getty Images】

不足する実戦感覚「阿吽の呼吸がわかるくらいのチームが強い」

 組織プレーが重視される15人制に対して、個人技の要素が強いのが7人制だ。そのため、練習で1つ1つのプレーを組み上げる15人制とは異なり、実戦や実戦に近い形での練習でチームを作っていく。リオ五輪金メダルのフィジーや強豪ニュージーランドでも、F1グランプリのように世界を転戦するWSSに参加しながらチームを進化させている。

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 坂井は、7人制の強化での実戦の重要さについてこう説明している。

「7人もしくは(控えを含めた)12人で戦う競技なので、何も言わなくてもこの選手ならこれをしてくるという、阿吽の呼吸がわかるくらいのコンビネーションがあるチームが強いと思っています。そういうところはやはり練習じゃなくて、実戦の場がいちばん経験的には積まれていくので大事かなと思いますね」

 昨秋のW杯で躍進した15人制代表の強化を見てくると、かなりロジックの構築で強化が進められていることが読み取れるのだが、坂井の言葉からは、7人制の場合は、より感性や感覚を重視していることがわかる。

 男子7人制代表は6月のリモート合宿から段階的に練習のボリュームを上げながら、11月29日の実戦まで進んできた。取材もインターネットによるリモート会見から、グラウンドでの取材へと変わっていく中で、選手にはWSSのような国際大会が再開されないことについても聞いてきた。ある選手は「どのチームも同じなので気にならない」とポジティブに語っていたが、ラグビーがグラウンドの内外で重視するイコールコンディションを考えれば、まさにその通りだろう。日本代表だけがラグビーが出来ないわけではない。しかし、別の視点から現状を考えると状況は変わってくる。

 ここでWSSの概要を説明しておこう。WR主催の7人制国際シリーズは、ラグビー主要国を中心とした世界10か国で大会を開催。大会ごとの順位で各チームに勝ち点が与えられ、年間勝ち点で優勝、順位が決まる。大会は通常16チームで戦われ、その内15チームは「コアチーム」と呼ばれ、全大会の参加資格を持つ、いわばシードチームだ。残りの1枠が、招待チームなどに割り当てられる。我が日本代表は、2014年シーズンからは毎年昇降格を繰り返し、開幕が延期されている2020―21年シーズンは1年ぶりのコアチーム再昇格が決まっている。

 コロナ禍の中で、今の日本代表の実力をはかる物差しはないが、毎シーズン昇降格を繰り返してきた状況を踏まえれば、15位前後と考えていいだろう。つまり1年を切った東京五輪で世界のトップ3に食い込むためには、他のライバル国以上に強化を進めることが重要になる。五輪に出場する大半のチームがリオ五輪からの4シーズンを世界最高峰のWSSで揉まれ、経験を積んできたことを考えれば、日本はスタートラインの後方に立たされていることになる。つまり、他国と同じことをやっていても、メダルに近づくことは相当に難しい。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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