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ケンブリッジ飛鳥、桐生祥秀も疾走 クラファンで福井に生まれた「今までにない大会」

イベント開催に願い「我々だけがやっても選手にはメリットはない」

 今年は新型コロナウイルスの影響で開催可否を検討しなければならなかったが、福井県からのバックアップもあり、十分にコロナ対策を練ったうえで実施可能と判断した。観客は2700人に限定されたが、スタンド席だけではなく、フィールド内にも特別観覧席を設け、選手と同じ目線でレースの臨場感を楽しめる場所も作り出した。

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 8月29日に実施された大会では、男子100メートルでケンブリッジが自己ベストの10秒03を叩き出して優勝。「いい風が吹きますし、それ以上に湿度も低くて、体が重く感じたりしない。気持ちよくレースに挑める」と話せば、2位の桐生も「毎年来たい。コロナが落ち着いたら、こういう大会がもっと各地で広がっていけばいい」と大会の開催を歓迎。選手からも支持される大会となっていた。

 日本の陸上界も他のスポーツと同様、徐々にエンタメ性が加わる場面も増えつつあるが、ANGは中でもずば抜けている。「去年も大会終わりにいろんな選手が(ツイッターで)ツイートしてくれたり、海外の試合に同伴で行っているトレーナーの方も『ヨーロッパのようで楽しかった』と言ってくれたりもしていたので、そういう部分ではある程度支持は得られているのかな」と吉田氏は手ごたえを口にした。

 福井県内の学生の競技人口割合に向上の兆しが見えるなど、新しい流れを作り出しているが「我々1つだけがやっていても、なかなか選手にはメリットはないのかなとも思う」というのが正直な思いだ。今後は他県でもこうしたイベントが開催されることを願った。

「それぞれ競技場には特徴がある。福井の場合は直線競技にいい風が吹くのが特徴ですが、例えば大きいスタジアムを持っている県なんかは、周回系の記録が出やすいという特性がある。別会場同時開催で、大型ビジョンを使って双方交互に中継とかもできれば面白いのではないかなと思います。

 陸上は1日が長いので、観客の皆さんは正直辛い。だから、うちみたいに種目を絞って3~4時間、ライブとかコンサートに行くような感じのイベントで繋がれば、空いてる時間はスクリーンを見て別会場の競技を楽しむなどできるかもしれない。うちがやっている競技以外の種目の選手からも『やってくださいよ』と言われるんですが、うちの競技場の特性だとできないということもある。ネットワークが広がって、いろいろなところでできるといいなと思います」

 吉田氏は福井県外で同様の大会が開催される場合に備え、ANGの開催で得たノウハウをいつでも伝えられる準備をしているという。福井で生まれた陸上界の新たな流れが伝染していけば――。今後は日本の至る会場でお祭り要素にあふれた陸上が見られるかもしれない。

(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)

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