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バレット、レイドロー 世界的スーパースターを引き寄せる確かな“日本の魅力”

世界的名将の存在が一流選手にとっては追い風に

 外国人指導者の存在もトップ選手の流入を後押ししている。2020年シーズンのTL参画16チーム中13チームが、外国人監督、ヘッドコーチと契約していた。優勝争いの中心に立っていたパナソニックはNZの強豪クルセイダーズを5度のSR制覇に導いた名将ロビー・ディーンズ監督が陣頭に立ち、神戸製鋼も同じくNZの知将で、先に挙げたスミス総監督が企業理念に則したチームのアイデンティティーまでも再構築して昨季のTL制覇を成し遂げた。

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 昨秋のW杯まで8シーズンに渡り最強軍団NZ代表を率いたスティーブ・ハンセン前監督は、トヨタ自動車のディレクターオブラグビーに就任している。このような名指導者からの誘いは、選手なら誰でも魅力的な判断材料であり、未知の国のチームへの移籍を決めるための大きな追い風になるはずだ。

 日本チーム側でもう1点考えられるのは、新リーグ構想の影響だろう。現在進められている構想はTLがプロ化へ向かうための過渡的な形態だが、一時取りざたされたプロ化構想では、TL最終シーズンでの順位が参入に大きく影響する可能性もあった。前出のTL関係者は「新リーグの前年は、絶対に上位に入る必要があった。会社側では、この最終シーズン限定でも、いい選手を揃える必要を感じていた」と従来以上の人件費もやむを得ない心境だったことを指摘する。

 もちろん課題もある。このようなスーパースターの流入が国内選手の活躍の場を奪ってしまう可能性などについては、今後リサーチしていく必要はあるだろう。エージェントが海外クラブとの契約で優位に立つための一時的な“腰掛け”として日本でのプレーを利用する傾向も見受けられる。

 それでも、W杯日本大会で輝きを放った多くの選手たちを日本のスタジアムで見ることができるのは、ファンにとって歓迎することであり、普及と強化の両面で幅広い可能性を秘めているのは間違いない。新リーグへの移行を踏まえて、多くのチームが2019年シーズンの神戸製鋼の優勝を成功事例として認めれば、チームへの資金投入がさらに増額され、ビッグネームの来日も加速する可能性がある。

 来日した多くのトップ選手が、日本での生活や環境、そして競技レベルについて、多くのポジティブな情報を海外に発信してくれれば、来日へのハードルは下がり、さらに魅力のあるリーグに進化することも期待できるはずだ。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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