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バレット、レイドロー 世界的スーパースターを引き寄せる確かな“日本の魅力”

W杯で経験した日本文化も選手に好評

 しかし、日本でプレーした外国人選手で恐らく過去最高のキャリアを持っているだろうNZの至宝SOダン・カーターが、2018年にフランスから神戸製鋼コベルコスティーラーズに移籍してきた。同国代表を昨秋のW杯まで主将として牽引したNO8キアラン・リード(トヨタ自動車ヴェルブリッツ)、南アフリカ代表の主力CTBダニエル・デアリエンディ(パナソニック)、HOマルコム・マークス(NTTコミュニケーションズ)らも大会前から移籍交渉を進めてきた。

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 それ以前にもNZ代表ではCTBソニー=ビル・ウィリアムズ(パナソニック)、オーストラリア代表はSHジョージ・グレーガン、マット・ギタウ(ともにサントリー)らが日本で活躍していた。このようなビッグネームは、以前ならアスリートとしてのピークを越えたタイミングで日本チームに加わっていたのが大半だった。しかし、彼らのような実績のある選手の日本チーム入りが、他の選手が日本でプレーすることのハードルを下げることに繋がっているのは間違いない。

 そこに世界最高峰の大会が日本で開催されたことが、流入に拍車をかけることになった。バレットがチームを通じて「2019年ワールドカップの期間、日本で過ごした時間は大好きな時間であり、その経験が是非また日本に戻りたいと思うきっかけになりました」と表明しているように、選手自身が日本のスタジアムでプレーして、2か月ほどを過ごしたことで、未知の国での生活に感じる不安のハードルも下げられることになった。レイドローも「日本を訪れるたびに素晴らしいおもてなしの心で歓迎していただき、これからこの素晴らしい国日本に住み、チームの一員になれる事を心待ちにしています」とコメントを発表している。

 これまで取材した多くの日本でプレーする外国人選手が口を揃えるのは、安全性についてだ。特に妻帯者や小さな子供を持つ選手にとっては、遠征などで長期間家を空けていても不安のない日本での生活は大きなメリットになっている。

 このような環境面のメリットにプラスされるのが、おそらく年俸だろう。一般的にはプレミアシップやTOP14が最も資金力があるリーグと考えていいだろう。しかし日本チームが一流外国人選手に支払う報酬は、着実に値上がりを続けている。数年前ならW杯8強クラスの代表経験者で2、3000万円程度だったが、いまではトップ選手なら5000万円以上も特別ではない。NZ最高の選手と称されるバレットは、海外の報道では1億円というプライスタグが記されている。

 それでも野球やサッカーなどに比べればラグビーでは世界クラスの選手の報酬は桁外れに安いのは、日本も海外も変わらない。その一方で、日本のTLチームを保有するのは世界規模の一流企業ばかりだ。あるTL関係者は、神戸製鋼が昨シーズン優勝したことによる宣言効果を「カーター、(総監督の)ウェイン・スミスら世界的な選手、指導者に高額の報酬を支払ってもメリットがあったはず」と指摘する。費用対効果を考えれば安い買い物なのだ。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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