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箱根駅伝、強豪校への挑戦 帝京大が「監督主導」から「自立」へ方針転換した理由

自主性を重んじる指導で成績が安定

――自立のベースを作ろう、自主性への転換を図ろうと考えたのはいつ頃だったのですか?

「4、5年前ですね。箱根には出られるようになったけど、次の具体的な目標がないよねって思ったんです。他の指導者の中には、箱根は通過点で世界を目指すという人もいるけど、世界を目指す選手はほんの一握り。現実的に、それ以外の選手は社会に出ていくわけで、その時に心の支えになるような誇りを持たせてあげたいんです。

 そうして、スポーツだけではなく、社会や世界を動かせる存在になっていってほしい。それが箱根の役割の一つであるけど、そのためには1人の人間として自立して、自分で考えて行動できることが必要なんですよ。そういうベースを作ることが大事だなっていうのを、その時にすごく感じたんです」

――自主性を取り入れることで、チームに変化は起きましたか?

「考えて走る習慣がついてきた。あと、レギュラーとそうじゃない組の選手との差は大きくなりましたね。この子たちをどう引き上げていくかが、今のうちの課題です」

 帝京大が安定して箱根駅伝でシード権を獲得し始めたのは4年前だ。成績が安定してきているのは、監督主導でレールを敷いた指導から自主性を重んじた指導へ転換した時期と重なる。それが定着した時、帝京の力はもうワンランク上がるはずだ。

■中野孝行(帝京大学駅伝競走部監督)

 1963年生まれ、北海道出身。白糠高校卒業後、国士舘大学へ進学し箱根駅伝に4回出場。卒業後は実業団の雪印乳業に進み、選手として活躍した。引退後は三田工業女子陸上競技部コーチ、特別支援学校の教員、NEC陸上競技部コーチを経て、2005年から帝京大学駅伝競走部監督に就任。2008年から15年連続でチームを箱根駅伝に導いている。

(佐藤 俊 / Shun Sato)

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佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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