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勝利至上主義の高校ラグビーに一石 監督の指示「禁止」、KCリーグ創設の狙いとは

湘南アルタイルズへのクラブ化を決断し、KCリーグも立ち上げた松山吾朗監督【写真:吉田宏】
湘南アルタイルズへのクラブ化を決断し、KCリーグも立ち上げた松山吾朗監督【写真:吉田宏】

選手たちにより多くの感動、経験、悔し涙を…

 アルタイルズのチャレンジだけが正解ということではない。だが、多くの高校チームが、協会からあてがわれた大会の中だけで精一杯の活動を続ける状況となっており、別の考え方、やり方もあるのではないかという一石になるのは間違いない。高校生は春季大会と花園予選という大きな目標があるが、「優勝」や「花園」という勲章を手にできるのは、ほんの一握りのチーム、選手だけだ。参加チームの半数は初戦で敗退するため、年間2試合、3試合のために1年間練習をしていることになる。彼らに、より多くの試合をさせたい、多くの感動を、経験を、そして悔し涙を味わわせたいと思う指導者は、ゴロー先生だけではない。

 新年度前ながら、アルタイルズはすでにチームでの挑戦をスタートしている。1年目を終えたクラブチーム、そしてKCリーグは新たなシーズンに何を目指すのか。ゴロー先生は着々と「次」を思い巡らせ、4月には大きなチャレンジも準備している。

「社会人との交流も考えています。リーグワンだとずいぶん敷居が高くなって限られてしまうけれど、例えば町中のおじさんクラブチームだと、どこにでもいっぱいある。ラグビーが好きで集まっているサラリーマンのおじさんたちのクラブチームと、このアルタイルズが上手く融合して、弟分じゃないですけど、そういう形でサポートしてもらえる環境を作りたい。おおらかにラグビーを楽しめる場所を作りたい」

 ゴロー先生自身も経験している社会人のクラブチームとリンクすることで、高校生たちも得るものがあるはずだというのが、これからの挑戦の一つ。そして昨夏、今年の新春と、コロナ禍で数試合程度しか消化できなかったKCリーグを本格的に展開するのも心待ちにしている。誰も踏み込まなかったフィールドへの挑戦は、まだ始まったばかりだ。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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