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元バレー女子代表監督・眞鍋氏の哲学 世界に勝つための鍵は「非常識を常識に」

「非常識を常識に」の精神を、未来ある高校生たちに注入

 7月21、22、23日と休みを取らせ、そしてスイスからロンドンの選手村へ移動。大会前、最後の全体練習となった24日…、竹下は当然通常メニューはこなせなかった。左手の人差し指に添え木を当て、テーピングで固めた彼女は一人コートの端で体を動かしていたという。眞鍋氏には、25日午前9時という登録メンバー12名提出のタイムリミットが迫っていた。

「私も元セッターなので分かりますが、セッターは親指、人差し指、中指、この6本だけは深爪しても無理。ましてや、骨折ですからね。24日の夜、二人きりで話をして、『竹下、3年半お疲れさん。もうこのオリンピックは諦めろ』と言いました。でも、彼女はできると言うんです。泣きながら『やらせてほしい』と。私も本当に悩みました。でも、3年半ずっと竹下を中心にやってきましたから、最後は『分かった、そこまで言うなら腹をくくる』と私は彼女に賭けることにしました」

 竹下の骨折は選手には知らされず、本人と監督、ドクター、トレーナーだけの「秘密」になったという。そして、彼女は激痛に耐えながらコートに立ち、骨折した指でトスを上げ続けて、周知の通りロンドン五輪で28年ぶりの銅メダルを獲得するまで駆け抜けた。

「普通なら絶対にあり得ません。竹下のオリンピックに対する執念ですよ」

 眞鍋氏がそう激闘の逸話を伝えたのが、「ポカリスエット エールキャラバン」だった。

 バレーボール、サッカー、バスケットボール、柔道、テニス、バドミントンを通じて、全国170校の部活生を応援する大塚製薬の企画の一環として9月2日に東海大高輪台高を訪問。全校生徒に講演を行い、その後は男女バレーボール部に特別指導も実施した。

 自らボールを手に取り、レシーブの体勢で待ち構える生徒にスパイクを打ち込む姿は、どこか代表監督時代の“スパルタ特訓”を彷彿させるものがあった。この日、眞鍋氏から注入された「非常識を常識に」の精神は、未来ある高校生たちにとって大きな財産となったに違いない。

【了】

ジ・アンサー編集部●文 text by The Answer

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