村田諒太が指摘した日本ボクシング中重量級の課題 佐々木尽をKOした世界王者に見る「ヒント」
ボクシングのWBO世界ウェルター級タイトルマッチ12回戦が19日、東京・大田区総合体育館で行われ、挑戦者の同級2位・佐々木尽(八王子中屋)が同級王者ブライアン・ノーマン(米国)に5回失神KO負け。日本人初の同級王座獲得の快挙はならなかった。完勝した王者を元WBA世界ミドル級スーパー王者の村田諒太氏が絶賛。日本ボクシング界に「いろんなヒントをくれた」と分析した

佐々木尽を破った王者ノーマンを絶賛
ボクシングのWBO世界ウェルター級タイトルマッチ12回戦が19日、東京・大田区総合体育館で行われ、挑戦者の同級2位・佐々木尽(八王子中屋)が同級王者ブライアン・ノーマン(米国)に5回失神KO負け。日本人初の同級王座獲得の快挙はならなかった。完勝した王者を元WBA世界ミドル級スーパー王者の村田諒太氏が絶賛。日本ボクシング界に「いろんなヒントをくれた」と分析した。
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予言通りだった。5回、ノーマンが右ボディーを放った瞬間、NTTドコモの映像配信サービス「Leminoプレミアム」で解説を務めていた村田氏は「いまノーマン下見せたんで、この後上来ますよ」と口にした。その3秒後、王者の左フックが佐々木の顔面を捉えた。5回46秒失神KO。村田氏は「ボディーストレートは伏線です。計算し尽された完璧なノックアウト。芸術品ですよ」と舌を巻いた。
試合後、THE ANSWERの取材に応じた村田氏は「セオリー通りだから予想できる」と回顧。その上で、「セオリーをセオリー通りに当てられるのが凄い。セオリーはセオリー通りには当たらない」と教科書通りに正確に打ち抜くことの難しさを強調した。それを実現させたのは「自分が思った通りに、思った瞬間に動ける身体コントロール能力」だという。

狙ったところにパンチを繰り出す能力を、同興行の前座でプロデビューし、3-0の判定勝ちで飾った東京五輪ミドル級日本代表の森脇唯人(ワールド)らと比較。中重量級の日本人ボクサーは「自分の体を正確に動かす認知力」に課題があるとし、それが伴わなければ「どれだけフィジカルやっても意味がない」と説いた。「彼は凄くいろんなヒントをくれたと思う」。お手本を示したノーマンに感謝した。
認知力を高めるためには「幼少期は大きいと思う」。木登りなど、体をリスクに晒す経験を小さい頃から積み重ねることが、脳と体の連動性を高めることに繋がるとみる。
会見後にはノーマンと握手し、敬意を示した村田氏。英語で交流し、「現役だったら君とは絶対戦わない」と冗談交じりに実力を称えていた。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)