「女性には指導できない」の偏見を打破できるか 五輪出場3度、競歩・岡田久美子監督の新たな挑戦

石井GMが海外で見た、女性指導者が活躍する姿
例えば海外遠征や合宿への帯同に関しても、岡田監督が妊娠中や子育ての時期であれば、体調や状況を最優先に鑑み、組織全体で柔軟にカバーし合えるサポート体制を構築。具体的には、チーム帯同のローテーション化やリモートでの指導連携などを予定しているという。
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「LOCOKは幼児教育を軸とする会社です。『子育て』と『指導者としての仕事』の両立を組織としてバックアップできなくては、何のための教育事業会社かという強い自負があります」(石井GM)
岡田監督の起用と全面的なサポート体制には、石井GMの前職での経験も反映されている。石井GMは以前、テレビ局のアナウンサーとして世界のスポーツシーンを取材。プロテニスプレーヤーのアンディ・マレーを世界トップに育て上げた母ジュディ・マレー氏、妊娠・出産を経て復帰したMLB初の女性フルタイムコーチらを取材する中で、「女性指導者がライフステージの変化でキャリアを諦めず、継続できる環境がいかにスポーツ界全体を豊かにするかを痛感した」という。
しかし、女性エリートコーチの数は、世界的に見ても伸び悩んでいる。
IOC(国際オリンピック委員会)の発表によると、夏季五輪における女性コーチの割合は、2016年リオ大会の10%から、2021年東京大会で13%に上昇。IOCはこれを受け、東京大会後の4年間で女性コーチの数を増やす戦略を打ち出したものの、続くパリ大会も同数値にとどまり、目標達成には至らなかった。
オリンピック・ムーブメント史やスポーツのジェンダー史に詳しい中京大学の來田享子教授は、次のように指摘する。
「ジェンダー平等政策を進めるIOCはこれまで、一方の性別の選手だけで代表団を構成しないよう各国に通達を出したり、ミックス競技を増やしたりとアファーマティブアクション(積極的格差是正措置)を採用。その結果、夏季五輪に出場する選手の参加枠はパリ大会で、史上初めて男女同数になりました。
ところが、コーチに関してはそのような強制的な措置が取りにくく、東京大会と同等の割合に留まったと考えられます。ジェンダー平等指数が高い国は比較的女性コーチの比率も高い傾向にありますが、それでもオーストラリアやカナダで18%程度。世界的に見ても決して高いとは言えないのが現状です」
比較的、女性監督が多いのは女子サッカー界だ。23年女子W杯では32代表中、女性監督は12人。また、イングランドの女子サッカーリーグ(WSL)でも、12クラブ中5人(25 -26シーズン)と女性監督の割合は40%を占める。
一方で、アメリカのNWSLでは16 クラブ中4人、スペインのリーガFでは16クラブ中2人、日本のWEリーグは12チーム中2名(25/26シーズン終了時点)とやはり国によって差が大きい。
また、女性コーチは指導レベルが上がるほど割合が下がる傾向もある。「例えば陸上界では女性のコーチが占める割合は、2024U-20世界陸上で20%、2023世界陸上では約11%程度という報告があり、ワールドアスレティックスもこれを問題視しています」(來田教授)
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