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「なでしこ世界一」の裏で電話番も経験 「社会人の30代って若い!」代表取締役の今に生きる実業団時代の学び――サッカー・阪口夢穂

人生の選択肢、迷ったら「楽しそう」と感じるほうを選ぶ【写真:荒川祐史】
人生の選択肢、迷ったら「楽しそう」と感じるほうを選ぶ【写真:荒川祐史】

迷ったら「楽しそう」と感じるほうを選ぶ

 今の自分には、第一に会社の代表として家族と従業員、そしてその家族の生活を守る責任がある。そのうえで今後は、人の役に立てること。そして面白いと思うこと、興味を持ったことにもチャレンジしていきたいと話す。

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「30年間、サッカーだけをやってきた人間ですから、他の世界については何も知らないわけです。だから今はなるべく多くの人と会い、話を聞き、いろいろな経験をする時期かなと思っています。

 サッカー界にいた時は32、3歳頃からベテラン、ベテランって言われ続けたんですね。後輩にも『夢穂さんは休んでいてください!』なんて、結構な年寄り扱いもされていたし(笑)。けれど今はどこに行っても『30代か、まだまだめっちゃ若いやん!』と言われる。『社会人の30代って若いんや!』と、久しぶりに晴れやかな気持ちです」

 迷ったら楽しそうと感じるほうを選ぶ。昔からそうやって人生を選択してきたという。

「全然、建設的ではないと聞こえるかもしれませんが、性格的に面白いと思わないと続かない。だから、それが最善やと思うし、失敗しないと思う。……というか、結果がどうであれ、別に失敗とは思わない、というのが近いかな。

 そして、面白そうだと感じたら、頭であれこれ考える前に行動に移す。なんか時間って有限じゃないですか。悩んでいる時間がもったいないですよ!」

 インタビュー終了後、阪口さんは「では、またいつかどこかで!」と、颯爽と去っていった。楽しい気持ちに逆らわず、進むべき道を選び、人生を切り拓いていく。阪口さんの言葉の端々に、太陽に向かって伸びていく逞しい撫子の姿が重なった。

■阪口 夢穂 / Mizuho Sakaguchi

 1987年10月15日生まれ、大阪府出身。6歳から地元のクラブチームでサッカーを始める。高校卒業後の2006年にTASAKIペルーレFCに加入。1年目からリーグ戦に出場する。09年のクラブ休部に伴い、米USL WリーグのFCインディアナに移籍。翌年のアルビレックス新潟レディースへの移籍を経て、12年には日テレ・ベレーザに加入。リーグ3連覇(15~17年)に貢献し、3年連続でなでしこリーグ最優秀選手賞を受賞した。21年のWEリーグ開幕を機に大宮アルディージャVENTUSに移籍。22年6月に退団を発表する。同年10月、家業である融星運輸株式会社の役員に就任。翌23年より代表取締役を務める。なでしこジャパンには06年に初選出。11年女子W杯ドイツ大会で優勝、12年ロンドン五輪で銀メダル、15年女子W杯カナダ大会で準優勝。通算キャップ数は124。

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)


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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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